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日本共産党

2018年5月8日(火)

きょうの潮流

 終業は午後4時45分。上からは「5時には帰れ」と言われています。でも誰も帰らない。知人が勤める小学校の日常風景です▼彼女が担任するのは小学2年生。毎朝6時前、早い時は5時前には家を出て学校に向かいます。8時15分の始業時間までの間、授業の準備をするのです。“終業”の後も2時間は残業。家でも仕事を持ち帰り、土日もどちらかは出勤。「へとへとです。定年まで働く人はごくわずか」▼それでも「部活がある中学よりは、まだまし」と知人。2016年度の公立小中学校教員の勤務実態調査では、中学校教師の約6割が過労死ラインを超えています。そんな教員の多忙化を描いたNHKの土曜ドラマ「やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる」が反響を呼んでいます▼「週平均60時間もの長時間労働、しかも残業代なし。休日手当にいたっては日当3000円。完全なブラックな職場ですよ」と神木隆之介さん演じる主人公。対して田辺誠一さんふんするベテラン教師が「いびつな職場環境を強いているのは国なんです」と▼公立学校の教員には法令で、原則として超過勤務を命じることが禁じられ、時間外勤務手当を支給しない、と定められています。そのため公立の教員の残業は“自発的なもの”と。代わりに基本給の4%が全員に配られます。無論、実態とは程遠い▼知人が望むのは「子どもと向き合うゆとり」です。処方箋は教職員を増やし、業務を減らすこと。先生の善意につけこんだ「やりがい搾取」はもう終わりにしたい。


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