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2018年4月19日(木)

「森友」国有地貸し付け

1500万円減額 経過改ざん

値引き不要から一変

 学校法人「森友学園」(大阪市)との国有地取引をめぐり財務省が公文書を改ざんした問題で、貸付料値引きの経過を書き換えたことが注目されています。財務省が、約8億円値引きした売却時だけでなく、貸し付けのときも根拠があいまいなまま年間約1500万円減額し、国庫に損害を与えた疑いが浮上しているからです。(三浦誠)

 財務省近畿財務局は2015年5月29日に学園と、10年間貸し付け、その間に売却するという契約を結びました。

 交渉の過程で、学園は貸付料の値引きを繰り返し要求。15年3月26日には突然、国有地が「軟弱地盤」であることを持ち出し、値引きを求めました。

 財務局は、これに応じ、当初の正常賃料(年間約4200万円)から、公租公課を含め約1500万円を減額。学園と年間約2700万円で貸し付け契約を結びます。

地盤調査をせず

 ところが、改ざん前の貸付決議書(2015年4月28日付)には、地質調査会社から「特別に軟弱であるとは思えない」と言われていたことが記されていたのです。

 財務省は、この部分を「不動産鑑定士に意見を聴取したところ、新たな価格形成要因であり、賃料に影響する」と、意味をまったく変える改ざんをしました。

 実は、学園に軟弱地盤を提示された当初、減額は必要ないと財務局は判断していました。財務局の法律相談書によると取引担当者は15年3月31日、法務担当者にこう伝えています。

 ―学園の地盤調査報告書を不動産鑑定士に確認したところ、「影響はない」という回答があったため、「貸付料の変更は行わない予定」。

 法務担当者からも、▽学園の調査では判断できない▽地盤調査は国がするべき▽個人的意見として学園側から契約締結を断念してもらったほうがよい、などと返事がありました。

 それが15年4月17日になると、取引担当者は、軟弱地盤を貸付料に反映すると態度を一変。財務局は独自に地盤調査しないまま、学園に「貸付料の修正を検討する」と伝えたのです。

「昭恵氏を意識」

 突然、値引きに転じた背景に何があったのか―。

 改ざん前の「普通財産の処理方針決定について」(15年4月28日付)には、「当局及び本省で法律相談を行った上で検討した結果」貸付料などで軟弱地盤を考慮すると決めたという文言がありました。

 財務局内の法務担当者は、軟弱地盤を理由にした値引きに否定的でした。それならば財務省本省と法律相談した結果、値引きを決めたのではないか―。財務省は本省の法律相談文書を公表していないため、疑惑は深まるばかりです。

 これらの経過について、佐川宣寿理財局長(当時)は「近畿財務局が技術的な知見を有する職員あるいは外部の専門業者などのチェックを行い、精査し、軟弱地盤であることが判明した」(昨年3月2日)と虚偽答弁までしていました。

 財務省は当時、安倍晋三首相の妻昭恵氏が学園と関係があることを把握していました。

 近畿財務局で国有地取引を担当していたOBは、こう指摘します。「貸し付けでも4割近く値引きしたことにびっくりした。これも特例だ。昭恵氏を意識したのではないか」

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