しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年4月16日(月)

お金の心配なく学べる社会に

どう見る「高等教育無償化」

田村副委員長に聞く 1

狭い対象、“看板に偽り”

 この春、新しい学生生活に夢を膨らませつつも、高い学費を払えるのか、多くの若者が不安を抱えています。一方で、安倍晋三政権は、昨年12月に発表した「新しい経済政策パッケージ」で、「真に必要な子供たちに限って高等教育の無償化を実現する」としました。お金の心配をしなくても学べる社会にするにはどうしたらいいのかについて、日本共産党の田村智子副委員長・参院議員に聞きました。


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(写真)田村智子副委員長・参院議員

「足切り制度」まで

 ―安倍政権の「高等教育無償化」をどう見ればよいですか。

 看板に偽りがあります。高等教育無償化をかかげながら、その支援対象は極めて狭く限定し、高い学費に一切手をつけようとしません。圧倒的多数の学生は、教育無償化の「蚊帳の外」に置かれるだけでなく、その「財源」という口実で消費税10%増税が押し付けられます。

 ―そんなに狭いのですか?

 安倍政権は、住民税非課税世帯などの低所得世帯の若者を対象に、授業料の減免措置の拡充と給付型奨学金の支給額を大幅に増やすとしています。文科省は、住民税非課税世帯で大学などに進学する高校生は、1学年あたり6・1万人と推計しており、これは、新入生の6・3%程度です。

 現在の授業料減免制度でも、国立大で12%、公立大で6・8%、私立大で3・2%の学生が支援を受けています。

 しかも、支援対象を政府が定めた要件―実務家教員による授業や経済界など外部の理事の数が一定割合を超えるなど―を満たした大学・専門学校に限定するというのです。ですから、支援対象はさらに狭くなります。

 国立大学協会会長の山極寿一・京都大学総長が「学生が行きたい大学に進む希望をかなえるのが重要なのに、大学に条件を付けるのはおかしい」と発言するなど、大学関係者からも厳しい批判の声が上がっています。

 さらに、在学中の成績評価(GPA)で下位4分の1に入った学生に対しては支援を打ち切ってしまう「足切り制度」を検討していることも重大です。支援を打ち切られた学生は退学するか、莫大(ばくだい)な借金を背負うかの選択を迫られます。

高学費に手付けず

 ―無償化というと「学費ゼロ」ですよね。

 本来、高等教育無償化とは、誰もがお金の心配なしに高等教育を受けられる条件を整えるために「学費ゼロ」に近づけていくことです。ところが、安倍政権は、異常に高い学費(初年度納付金が国立大学で約82万円、私立大学で平均約132万円)には一切手を付けようとしません。今年、授業料を5万円、8万円と値上げする私立大学が相次ぎ、雑誌が「有名大学が大幅値上げラッシュ!」と特集を組むほどです。こうした値上げ傾向を値下げに転じる政策は、安倍政権にはありません。(つづく)


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