しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年4月8日(日)

きょうの潮流

 アニメ映画「風の谷のナウシカ」のタイトルは「風の戦士ナウシカ」に。キャッチコピーは「人間はもういらないのか?」にしたほうがいい―▼映画会社や広告代理店が押してきた扇情的な提案。それに対して作品の内容からみて間違っていると主張したのが、この映画でプロデューサーを務めた高畑勲さんでした。スタジオジブリ代表の鈴木敏夫さんが『ジブリの仲間たち』に記しています▼ばく大な宣伝費をかけ、ヒットを仕掛け、大量消費していく。映画とはそういうものではない。この作品の根底には自然に対して人間はどのようにかかわるべきかというテーマがあると▼テレビアニメの「アルプスの少女ハイジ」や映画「火垂(ほた)るの墓」「平成狸合戦ぽんぽこ」…。そこには生命の輝き、人びとの生活や子どもたちへの限りない愛情があふれていました。同時に、それをおびやかすものへの怒りや警鐘も▼9歳のときに岡山市で空襲にあい、九死に一生を得た高畑さん。憲法9条を守るために声をあげ続けました。周りに同調する日本人の「ずるずる体質」を嫌い、過去の反省や人間の理性が欠けた政治をきびしく批判しました▼「安倍政権に対抗する確かな背骨であり、ぼくにとっての指標」と共産党に期待を寄せてくれました。特定秘密法に反対する映画人の会をともに結成した山田洋次監督は「日本の映像文化の世界でもっとも大切なひとり、いなくてはならない人を失った」。表現者として命と平和の尊さを貫いた82年の人生でした。


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