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日本共産党

2018年4月4日(水)

何でも改ざん 安倍内閣

国民主権・議会制民主主義を破壊

根底に強権体質

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(写真)公文書改ざん事件の真相解明と安倍内閣の総辞職を求めて首相官邸前の抗議行動に参加する人たち=3月30日、東京都千代田区

 公文書管理法(2011年4月施行)の制定過程で、国民が正確な情報にアクセスし、それに基づき判断し、主権を行使することが民主主義の根幹であり、それを支える基本的公共財として「公文書」が位置づけられました。(別項)

 公文書が、権力によって改ざん、隠ぺい、ねつ造されることは、文字通り民主主義、国民主権を土台からゆるがすものです。国会による行政監督の実質を失わせ、議会制民主主義を破壊するものでもあります。

 公文書の改ざん、隠ぺい疑惑が安倍政権のもと、底なしの深まりを見せています。二階俊博自民党幹事長は4日の会見で「(財務省の文書改ざんを受け)こうした問題が忘れてしまわないうちにまた出てくる。国民の信頼を失えば行政は何もできなくなる」と危機感を示さざるを得ませんでした。

 公文書の改ざんや隠ぺいは、国民に明らかにできない、反民主的で反憲法的な活動を隠すためです。

 「森友学園」の国有地取引に関する財務省の決裁文書から、安倍晋三首相の妻・昭恵氏が「いい土地ですから、前に進めてください」と語ったというくだりが削除されました。そこには、最高権力者による、政治と国有財産の私物化が露骨に示されています。

 「廃棄」とされた南スーダンPKO(国連平和活動)の日報には、南スーダン政府軍と反政府軍の「戦闘」が報告され、政府軍による国連施設などへの攻撃も記されていました。南スーダン政府軍と自衛隊が衝突すれば、違憲の海外での武力行使となるうえ、派兵の前提を欠く事態にもなります。当時、稲田朋美防衛相は「法的な意味での戦闘ではない」「散発的衝突事案」などと言い換え、事態を矮小(わいしょう)化し、現場の自衛官の危険を無視したのです。

 一連の改ざん、隠ぺい、ねつ造の根底には、憲法を無視し、国民にうそをつくことに何の痛みも感じない安倍政権の強権体質があります。その下で、官僚組織は憲法や刑法(公文書偽造罪)の規定すら無視し、首相官邸や自民党中枢の意向に隷従し、違法行為を繰り返す異常な状況になっています。

 憲法15条「公務員は全体の奉仕者」との規定は、議会の多数派が内閣を構成するもとで、公務の政治的中立性、自律性を確保するためのものです。ところが安倍政権は「内閣人事局」を通じ、省庁の上級幹部の人事権を掌握し、官僚への支配を強め官僚を言いなりにする支配体制を強めてきたのです。

 国民主権、権力の分立や法治主義など、当然の近代的政治原則が何重にも破壊される危機的状況にあります。(中祖寅一)

■公文書管理の在り方等に関する有識者会議 最終報告(2008年11月4日)から

 民主主義の根幹は、国民が正確な情報に自由にアクセスし、それに基づき正確な判断を行い、主権を行使することにある。国の活動や歴史的事実の正確な記録である「公文書」は、この根幹を支える基本的インフラであり、過去・歴史から教訓を学ぶとともに、未来に生きる国民に対する説明責任を果たすために必要不可欠な国民の貴重な共有財産である。


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