2018年4月4日(水)
きょうの潮流
米南部テネシー州メンフィスの夏は３０度を超える暑さです。汗だくになってごみを収集する黒人労働者。彼らは仕事が終わってもシャワーを浴びることはできません。職場のシャワーは白人専用とされていたからです▼「靴にはうじ虫がわいていた」。メンフィスで６０年余り清掃労働者として働いた男性が米ラジオで、働き始めた頃を振り返っていました。公民権運動指導者マーティン・ルーサー・キング牧師は、スト入りした清掃労働者の支援に訪れたメンフィスで暗殺されました。５０年前の今日です▼非暴力を貫き、人種差別、貧困、戦争の根絶を目指したキング牧師。白人至上主義者を擁護する大統領や人種間経済格差など今の米国を見たらどう思うでしょうか。正義や平等を求めるたたかいは道半ばです▼一方で初の黒人大統領となったオバマ氏に象徴されるように黒人の社会進出は飛躍的に拡大。歴史は差別を許さない方向へ着実に進んでいます。「抑圧されている人々が永久に抑圧され続けることはあり得ない」。キング牧師はいつもこう語り、人々を励ましました▼セクハラ被害を告発する女性、銃規制を訴える高校生、労組結成権を求める青年。人間の尊厳を求めて自ら行動を起こす人が増えています。その底流にあるのがキング牧師の理想です▼「真理は今は押さえ付けられていても、必ずやその姿を現しわれわれの頭上に輝く」。キング牧師が残したメッセージはこれからも、諦めずにたたかう人々の心に生きつづけることでしょう。
