しんぶん赤旗

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2018年4月4日(水)

主張

イラク日報「発見」

改ざん、隠ぺい 何でもありか

 アメリカが始めたイラク侵略戦争の際の「復興支援」を名目に、2004年から06年にかけ派兵された陸上自衛隊の日報が、延べ376日分、計約1万4000ページが見つかったと小野寺五典防衛相が発表しました。稲田朋美元防衛相は国会で日報の存在を否定しており、隠ぺいも疑われます。安倍晋三政権ではこの間、南スーダンPKOに派遣された自衛隊の日報隠ぺい、「森友」、「加計」問題での資料隠しや公文書改ざん、「働き方」法案をめぐるデータねつ造などが大問題になっています。改ざん、隠ぺい何でもありの安倍政権による、重大な民主主義破壊です。

大臣報告まで3カ月近く

 小野寺防衛相の発表によると、イラクのサマワに派兵された自衛隊の日報が見つかったのは今年になってからだと言います。南スーダンPKOに派遣された自衛隊の日報を隠ぺいしていた問題で改めて省内を調査したところ、陸上幕僚監部衛生部や研究本部で日報が保存されていることが、2月末に陸幕から自衛隊を統合運用する統合幕僚監部に報告があったといいます。見つかった日報の内容はまだ公表されていません。

 サマワへの自衛隊派兵は、当時のイラクのフセイン政権が「大量破壊兵器」を持っているというウソの情報をもとに、アメリカのブッシュ政権が始めた侵略戦争を事実上支援するために、「人道復興支援」を名目に、強行されたものです。サマワは「戦闘地域」ではないなどといいましたが、自衛隊の宿営地に砲弾が撃ち込まれるなど危険な事態があったとされ、日報にどう記載されているのか注目されます。

 南スーダンPKOの日報を隠ぺいし辞任に追い込まれた稲田防衛相は、昨年2月の国会で野党議員からイラク派兵関係の日報の存在を質問され、「見つけることはできませんでした」と答えています。意図的な隠ぺいの可能性も否定できません。しかも研究本部などで日報が見つかったのは1月で、陸幕から統合幕僚監部に報告されたのは2月末、小野寺防衛相に報告されたのはさらに1カ月後の3月末で、対応の遅さも不可解です。

 小野寺防衛相は「昨年の国会での資料要求や質疑に対し可能な限り探したが、その時点では確認できず、不存在と回答していた」と言い訳し、陳謝します。しかし報告の遅れには触れず、「内容を精査する必要があった」としか言いません。意図的な隠ぺいはなかったのか、経過を全面的に明らかにするとともに、日報の全容を速やかに公開することが不可欠です。

 日本共産党の穀田恵二衆院議員が国会で暴露・追及している防衛省内部文書の改ざん疑惑も、重大です。

安倍政権の体質浮き彫り

 都合の悪い情報は隠し、国会にも国民にも知らせず、どうしようもなくなれば、やってはならない公文書の改ざんまでする―こうした民主主義破壊の事態が横行しているのが、安倍政権の姿です。防衛省によって繰り返された可能性がある日報の隠ぺいも、こうした体質と無関係ではありません。

 行政府による隠ぺいや改ざんが後を絶たない背景には、憲法さえ守らない首相主導の「一強政治」、国民と国会を無視した「強権政治」があります。安倍政権を退陣に追い込むことがますます必要です。


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