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2018年4月2日(月)

米軍、運送業者を募集

日本の整備拠点化 加速

戦闘機エンジンを基地から基地へ

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(写真)横田基地(奥)とIHI瑞穂工場がある一帯=東京都瑞穂町

 在日米空軍が日本国内で戦闘機用ジェットエンジンを車両で輸送する業者について市場調査の募集をしていることが1日までに、わかりました。米軍は、インド・アジア太平洋地域で行う軍事作戦にむけて、民間企業も動員し日本を整備拠点として利用する動きを強めています。

 募集は、横田基地の米空軍第374契約中隊が2月25日に公表したもの。応募期限は4月20日です。調査の対象は、民生用の空気サスペンション付きエンジントレーラー、航空輸送トレーラー、台車を保有して、戦闘機用エンジンを輸送可能な運送業者です。今回の募集は、直接の契約につながりませんが、応募する業者は、価格一覧表などを提出し、米軍側が日本国内で業務発注が可能かどうかなどを判断します。

 輸送するのは、プラット・アンド・ホイットニー社(P&W)製F100、ジェネラル・エレクトリック社(GE)製F110系統のエンジンです。両エンジンは、米空軍のF15、F16戦闘機に、F110エンジンは航空自衛隊F2戦闘機にも使用しています。輸送を計画しているのは、横田基地(東京都)―三沢基地(青森県)間、横田基地―岩国基地(山口県)間です。

 横田基地に隣接する株式会社IHI(旧石川島播磨重工業)瑞穂工場は、空自が42機の導入を計画しているステルス戦闘機F35用エンジンのアジア・太平洋地域での整備拠点とされ、工場が建設され横田基地との間に搬入・搬出用ゲートも設置されています。IHIではこれまで、空自のF15戦闘機のエンジンの整備も実施しています。

 在日米空軍は嘉手納基地(沖縄県)にF15戦闘機約50機、三沢基地にF16機戦闘機約40機を配備。米軍がすでに日本に配備されている戦闘機についても、日本国内の企業への整備の発注を検討している可能性もあります。

 今回の市場調査について在日米軍横田基地広報部は、内容について回答していないとしながら「基地の任務にはさまざまな要素が影響を与えており、契約業者調査は可能性と必要条件について検討する重要な方法だ」としています。


解説

米の軍事作戦に日本を組み込む

 米軍による軍用機の整備・修理にかかわる日本国内での業者募集が、相次いでいます。

 米原子力空母艦載機の移駐に伴う岩国基地(山口県)へのFA18戦闘攻撃・EA18G電子攻撃機の整備拠点設置と請負業者募集(応募期限2月6日)、普天間基地配備の米海兵隊AH1Z攻撃ヘリ、UH1Y汎用ヘリの市場調査(2月12日公表)、岩国基地配備のKC130J空中給油機の市場調査(3月11日公表)などです。

 日本国内では、陸上自衛隊木更津駐屯地に普天間基地に米海兵隊垂直離着陸機MV22オスプレイの整備拠点が昨年1月に設置され、定期整備を富士重工業(現スバル)が請け負っています。

 名古屋空港に隣接する三菱重工業小牧南工場(愛知県)は、ロッキード・マーチン社製のF35A戦闘機の最終組立・検査工場となり、空自に納入する42機のうち38機を生産。最初の生産機が今年1月、空自三沢基地に配備されました。同工場はF35のアジア・太平洋地域の整備拠点とされています。

 戦争=安保法制、米国のアジア重視政策の下、米軍の軍事作戦に日本を組み込む体制は、軍用機の整備・修理でも強化されようとしています。(佐藤つよし)


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