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2018年4月1日(日)

社会保障制度4月改定

医療・介護 負担増目白押し

 4月から、医療、介護、生活保護など社会保障の制度が見直され、子ども・子育て向けの制度では一定の改善もみられますが、高齢者を中心に負担増となるものが目白押しです。

■医療■

軒並み上げ

 医療では保険料の値上げや窓口負担額の引き上げが目立ちます。

 紹介状なしで大病院を受診した場合に窓口負担とは別に追加負担が徴収される制度では、対象病院の基準を500床以上から400床以上に拡大。病院数は262カ所から約410カ所に増えます。初診時5000円以上、再診時2500円以上が徴収されます。

 入院時の食事代が、1食あたり360円から460円に値上げされます(低所得者除く)。医療療養病床に入院している重症者の水光熱費を200円から370円に引き上げます。

 75歳以上が加入する後期高齢者医療では、低所得者の保険料軽減のための特例を縮少。年金収入が年211万円の場合、月平均5400円が、890円増の6290円になります。

 74歳まで被用者保険加入の夫や子に扶養されていた人の軽減措置も縮小されます。

 8月には、月ごとの自己負担の限度額を超えた部分をあとから払い戻す高額療養費制度で、70歳以上の人の自己負担限度額が昨年に続き、引き上げられようとしています。

 高すぎる保険料の大幅引き下げを求める声が広がっている国民健康保険(国保)は、4月から財政運営主体が市区町村から都道府県に移行。厚労省の調査によると、4割の市区町村で保険料の引き上げが見込まれています。

■介護■

利用抑制も

 介護では、65歳以上の人の保険料基準額が3年ぶりに改定され、全国平均で月6000円を超える見込みです。

 訪問介護では、10月から、ホームヘルパーが掃除や調理を行う生活援助中心のサービスについて、利用が一定回数を超えるケアプランを市町村へ届け出て、チェックを受けることがケアマネジャーに義務付けられます。市町村からの「是正」指導を受ければ、利用の抑制をまねきかねないとの懸念の声が上がっています。

 介護報酬の改定に伴い、一部サービスで利用料が引き上げられます。厚労省試算では、要介護2の人で、訪問介護週2回、通所介護週3回を利用した場合、294円増の1万5404円となります。

■年金■

実質下げに

 多くの高齢者の願いは、生活できる年金額への大幅な引き上げです。

 しかし、4月からの年金額(6月支給)は、基礎年金で月額6万4941円(満額)、厚生年金で22万1277円(基礎年金を含む標準的夫婦モデル)と据え置かれました。年金から天引きされる介護保険料や後期高齢者医療の保険料が多くの自治体で引き上げられるため、実質的な引き下げです。

■子ども■

上げ不十分

 17年度の全国消費者物価指数が0・5%上昇したのにともない、ひとり親家庭の児童扶養手当が引き上げられます。第1子が月額4万2500円(210円増)、第2子1万40円(50円増)、第3子6020円。しかし、引き上げ幅は子どもの貧困の解消策としては不十分です。

 児童扶養手当の全額支給の要件が、年収130万円から160万円に緩和されます。

■生活保護■

削減ねらう

 生活保護では、子どもの貧困をさらにひどくする生活扶助の最大5%削減が今年10月から狙われています。子どもが多い世帯ほど削減幅が大きく、厚労省は都市部にすむ夫婦と子ども1人世帯の場合は年3万6千円、子ども2人の世帯では10万8千円もの削減になるとしています。

 さらに一人親家庭への「母子加算」も、現在月2万2790円から月2万1400円に減額されます(都市圏)。

 子育て世帯に支給する「児童養育加算」は対象を現在の中学生から高校生まで拡大される一方、3歳未満は1万5000円から5千円減額されます。学校外活動への支援である小中学生の「教育扶助」と高等学校等就学費内の学習支援費は、定額支給から実費支給になり、使途をクラブ活動に関わる経費のみに範囲が狭まります。(北野ひろみ)


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