しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年4月1日(日)

きょうの潮流

 列島が桜色に染まるなかで新しい年度が始まります。入学や進級、新入社。華やぐ春の自然界とともに、人間社会も季節の変わり目です。〈四月来る十八歳の定期券〉(稲葉ちよこ)▼環境の変化はわくわく感の一方で不安な気持ちも。これから新生活を送る人たちを社会全体で応援したいところですが、くらしの厳しさはさらに。食べ物や飲料の値上げ、医療や介護・福祉の負担増。浮き立つ心を失政がふさぎます▼〈憂きことの なおこの上に 積もれかし 限りある身の 力ためさん〉。つらいことがこの身になおも降りかかるが、自分の持てる力の限りがんばる。そんな決意を込めた歌が本紙「読者の広場」で紹介されていました▼この歌は江戸初期の学者、熊沢蕃山(ばんざん)の作といわれています。備前岡山藩主の池田光政に仕えた蕃山は飢民の救済に尽力。しかし大胆な改革や幕藩体制にも批判の目を向けたことから守旧派の反発をかい、晩年は不遇に。そのなかで己を奮い立たせるために詠んだ歌だと▼壁にぶつかり落ち込んだとき、母から教えてもらったこの歌を心の支えに―。「春おくる言葉」に投稿してくれた女性がつづっていました。一人ひとりの心持ちとともに、がんばりが報われる世をつくりたい▼蕃山は民衆の生活を保障するために仁政を施すことを求め、人びとが互いに助け合う社会を理想としました(『熊沢蕃山 その生涯と思想』)。いま多くの国民が憂いをもたらしている政治を変えようと声をあげています。春よ来いと。


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