しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年3月29日(木)

きょうの潮流

 低すぎる生活保護費は憲法25条(生存権)違反―。岡山県の重症結核患者、朝日茂さんが「人間裁判」で1957年に国などを訴えてから60年余▼この間、国の社会保障費削減が人間らしい暮らしを脅かすとして、数々の社会保障裁判がたたかわれてきました。朝日さんゆかりの岡山では、介護保険申請がないことを理由に65歳の誕生日で障害福祉サービスをすべて打ち切られた男性が、違憲・違法だと岡山市を訴えていました▼脳性まひで重度障害のある浅田達雄さん、ひとり暮らしで支援がなければ生活できません。サービス打ち切りは、市から「死ね」と言われたようだと。なぜこんな理不尽なことが起きるのか▼障害者総合支援法7条が規定する介護保険優先原則があるからです。障害者に65歳になったら介護保険を優先的に利用するよう求めるもの。総合支援法と介護保険法は目的が違い、移行後はほとんどの障害者が困難な生活を強いられ、全国的な問題に▼浅田さんの訴えは全面勝訴を導きました。判決は、法7条の規定は併給調整規定で、障害福祉と介護保険とのサービスの二重給付を避けるためのものと解釈されると。「生活を維持することは不可能な状態に陥ることは明らか」な場合は、障害福祉サービスを利用できることを認めました▼「勝ったー」。車いすなどで駆けつけた全国の仲間に囲まれた浅田さん。両手を高く上げて喜びを表しました。「権利はたたかう者の手にある」。朝日さんの訴えが今再び、私たちの胸に染みわたる。


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