しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年3月26日(月)

自民大会 劣化示した首相演説

立憲主義壊す首相に憲法語る資格なし

 25日の自民党大会での安倍晋三首相の演説は、今の政権与党の劣化を如実にあらわすものとなりました。安倍首相は9条の改憲条文案をぶちあげるはずだった大会の演説冒頭で、「森友」公文書改ざん事件に「行政の長として責任を痛感する」と言わざるを得ない事態に陥る一方、この期におよんで「なぜこのような事が起こったのか」わからないとひとごとのように述べました。

 行政を監督する憲法上の最高権限を持つ国会に対し、改ざんした文書を提出して1年以上も欺き続けた内閣全体の責任をどう考えているのか。

 さらに、安倍首相は演説の最後で、「いよいよ憲法改正に取り組むときがきた」「(9条改憲は)自民党の責務だ。敢然とこの使命を果たして新しい時代をつくりあげていこう」と気炎を上げ、改憲発議をめざす強い“執念”を示しました。

 自らの妻が関与する「森友学園」への国有地売却をめぐる公文書改ざんで、日本の民主主義をかつてない危機的状況に陥れておきながら、9条改憲に乗り出そうなど言語道断です。憲法に基づいた政治を行う立憲主義を破壊する安倍首相と自民党に憲法を語る資格などありません。

 ところが安倍首相は、「特定秘密保護法、平和安全法制(戦争法)、テロ等準備罪(共謀罪法)、激しい反対運動のなか黙々と成立させてきた」と述べ、日米同盟の絆を強固なものとするため、数々の違憲立法を強行したことを誇って見せました。

 酷暑でも、雨や雪の日でも、首相官邸前をはじめ全国各地の草の根で「立憲主義を守れ」「憲法壊す総理はいらない」と訴え続けてきた国民の声を踏みにじる発言です。

 安倍政権による立憲主義破壊を数えるときりがありません。自衛隊の南スーダン派兵では「戦闘」が起きている現地の情勢を記した「日報」を隠ぺい。「働き方改革」一括法案の裁量労働制をめぐっては厚労省がデータをねつ造していました。

 さらに安倍政権は唯一の戦争被爆国でありながら、核兵器禁止条約に背を向け続けています。米国が核兵器を使う姿勢を強く打ち出した新しい核戦略「核態勢見直し」(NPR)について「高く評価する」と述べ、憲法9条を持つ日本の政府にあるまじき態度をとり続けています。

 自民党がとりまとめを進める9条改憲の骨格案は、自衛権を正面から認め、戦力不保持を定める2項の例外に自衛隊を位置づけました。文字通り9条2項を空文化する危険な内容です。この国を私物化する権力者が、自らの権力をさらに拡大しようというたくらみを止めるため、安倍9条改憲ノーの3000万人署名を広げることが急務です。(秋山豊)


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