しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年3月26日(月)

きょうの潮流

 「黒い灰が空に舞っている。紙を焼いているにちがいない。戦闘隊組織に関する書類らしいという」。作家の高見順は1945年8月16日の日記にそう書き付けていました▼敗戦後、日本の各地で燃やされた大量の文書。それは戦争責任を逃れようとする人たちの証拠隠滅だった―。日本近現代政治史を専門とする瀬畑源(はじめ)さんは、いかに行政が公文書を恣意(しい)的に扱ってきたかを自著で解き明かします▼情報が隠されたまま国民を戦争に引きずり込んだ戦前。情報公開や公文書の管理体制が世界から立ち遅れた戦後。野党から追及されてもきちんと説明もせずにごまかそうとする今の安倍首相や閣僚の姿勢は、公文書管理のずさんなあり方とリンクしているようだと▼実際、安倍政権による公文書隠ぺいや改ざんは目に余ります。南スーダンの自衛隊日報から森友・加計問題まで。情報隠しを際限なくひろげる特定秘密保護法も強行しました。国民の知る権利を縛りつけ、権力の監視を妨げています▼公文書は「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」で「主権者である国民が主体的に利用し得るもの」と法に定められています。それをないがしろにしては歴史の過ちをくり返すことにつながります▼自民党の大会で安倍首相は憲法に自衛隊を明記する決意を改めて示しました。歴史をねつ造し、闇をつくる勢力がねらう「戦争する国」づくり。現在も、そして将来の国民にたいしても責任を放棄する彼らに憲法を変える資格はありません。


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