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2018年3月25日(日)

介護保険料 8割超で増額

52政令市・県都 本紙調べ

 4月に改定される65歳以上の人の介護保険料が、政令市と県庁所在地(東京は新宿区)の52市区のうち、8割を超える44市区で引き上げとなり、据え置きは岡山市など8市にとどまる見込みであることが24日までに、本紙の調査でわかりました。4月からは後期高齢者医療保険料も負担増となる自治体は多く、介護・医療の保険料負担増が高齢者の暮らしを直撃しかねない事態です。


自治体間格差も拡大

 調査した市区のうち、もっとも高くなるのが大阪市で月額7927円でした。現在の基準額(6758円)から17・3%増の1169円の引き上げです。次いで那覇市7055円(905円増)、長崎市6800円(717円増)の順でした。

 大阪市の保険料額は、一番低い宇都宮市より月額2646円も高くなるなど保険料の自治体間格差もさらに広がっています。

 全日本年金者組合の田島茂副委員長は「2018年度の年金額が据え置かれたもとで、介護や医療の保険料負担増は、実質年金額の引き下げに等しく、受診や介護サービス利用の抑制を招きかねない、高齢者の暮らしと命を脅かすものです。国民に『健康で文化的な最低限度の生活を営む権利』を保障した憲法25条の理念にも反し、国連の社会権規約にも抵触します。国の責任で負担増軽減に取り組むよう求めたい」と話しています。

 現行制度は、利用が増えたり、介護労働者の賃金などに充てる介護報酬が引き上げられたりすると、ただちに保険料や利用料の負担増にはね返る仕組みです。そのため、介護が必要な高齢者や1人暮らしの高齢者が相対的に多い自治体ほど保険料などがより高くなってしまいます。

 自治体のなかには、一般財源から介護保険財政への繰り入れを行うなどして保険料などの負担増を独自に抑制しているところもありますが、対策には限界があります。自治体関係団体は「将来にわたって都市自治体の財政負担や被保険者の保険料負担が過重とならないよう、国費負担割合を引き上げること」(昨年11月、全国市長会の介護保険制度に関する提言)など国に積極的な財政支援と制度の見直しを、繰り返し求めています。


高齢者の暮らしを直撃

国庫負担引き上げ急務

写真

(写真)倉林明子参院議員

 介護保険制度に詳しい日本共産党の倉林明子参院議員の話 65歳以上の介護保険料は、多くの方が問答無用で年金からの強制天引きです。今や、高齢者の生活を脅かすほどになっています。保険料・利用料の値上げをせずに、制度の充実を図り、安心できる制度にするには、国や自治体の公費負担割合を大幅に増やすしかありません。共産党は、国庫負担割合(現在25%)を直ちに10%引き上げ、将来的には、国庫負担50%に引き上げることを提案しています。その財源は、消費税ではなく、富裕層や大企業に応分の税負担を求めることなどで確保できます。


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