しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

2018年3月20日(火)

論戦ハイライト

「森友」公文書改ざん 特例決裁 昭恵氏が転換点

 学校法人「森友学園」への国有地格安売却に関する財務省決裁文書改ざん問題の集中審議が行われた19日の参院予算委員会。日本共産党の小池晃書記局長、辰巳孝太郎議員は、安倍晋三首相の責任や首相の妻・昭恵氏と国有地取引とのかかわりなどを具体的に指摘。昭恵氏や佐川宣寿前理財局長らの証人喚問を求めました。


「総理夫人」答弁 議場どよめく

小池書記局長がただす

写真

(写真)質問する小池晃書記局長=19日、参院予算委

 小池書記局長は、安倍首相や昭恵氏の関与があったからこそ、決裁文書改ざんや森友学園に対する「特例承認」が行われたことを浮き彫りにしました。

 小池氏は、真相解明には関係者の証言が必要だとして、佐川氏が改ざんについて「知っていた」とする財務省を追及。「刑事責任が問われる可能性がある問題だ。知っていたか本人に確認すべきではないか」とただしたのに対し、太田充理財局長は「関係者に聴取し、われわれが知りうる限りということだ」と答えました。小池氏は「佐川氏には何も聞かず推測で言っている。証人喚問するしかない」と求めました。

 改ざん前の決裁文書にたびたび登場しているのが昭恵氏です。小池氏はその理由が何かと迫りました。

 小池 なぜ、国会議員でもない昭恵氏の動向が決裁文書に記載されていたのか。

 太田理財局長 それは基本的に総理夫人だということだ。

 小池 重大な発言だ。特例承認するにあたり、森友学園に昭恵氏がかかわっていることが極めて重大な要素だったということだ。

図

(写真)出典:小池晃事務所作成

 太田局長の答弁に、議場はどよめきに包まれました。小池氏はさらに、昭恵氏が国有地取引の重要局面で登場していると指摘しました。

 改ざん前の文書は、昭恵氏の言動を詳細に記録しています。学園の小学校用地取得で、近畿財務局は2014年4月15日に大阪府私立学校審議会が認可適当の答申を出すまでは契約できないと回答。しかし約2週間後の同月28日、学園理事長だった籠池泰典被告が同局に対し、「(昭恵)夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください。』とのお言葉をいただいた」と発言し、昭恵氏と並んで写った写真も示したと記述があります。この発言の約1か月後に近畿財務局は「協力させていただきます」と森友側に回答しています。

 翌15年1月には、昭恵氏が学園を訪問した際に教育方針に「感涙」したと「産経」がネット記事を掲載したことにも言及。その翌日に貸付料の概算額を伝えています。

 小池氏は「決裁文書の中で、昭恵氏がターニングポイント(転換点)に出てくる」とし、文書改ざんに与えた影響も否定できないと指摘しました。安倍首相は改ざんの理由は「妻の名前があるからではない」と主張しましたが、決裁文書に昭恵氏が出ていることについては「私の妻でなければ当然、(文書に)載らない」と述べました。

 小池 決裁文書に昭恵氏や「日本会議」が出ている。理財局で書いたものか。

 太田理財局長 本省決裁のときに入っている。

 小池 昭恵氏の存在は決裁に必要だと理財局が判断したのではないか。

 麻生太郎財務相 国会答弁の関係で、いろいろな形で出てきた人の名前をあげた。

 小池 昭恵氏は国会答弁とは関係ない。

 麻生財務相 これまで出てきた関係者の名前として、いろいろ出てきた。

 小池氏は、学園での講演や教育方針の賛美などを行ってきた昭恵氏が森友学園と深い関係にあることを突き付け、「学園にとって最大の課題だった土地取得が座礁(ざしょう)しかかったとき、それに一切かかわっていないというのか。納得できる説明では到底ない」と指摘。世論調査でも昭恵氏の証人喚問を求める声が多数だとして、徹底解明に向け、昭恵氏付の政府職員だった谷査恵子氏、佐川氏の前の理財局長である迫田英典氏の証人喚問も必要だと求めました。

本省指示で貸し付けへ

辰巳議員が追及

写真

(写真)質問する辰巳孝太郎議員=19日、参院予算委

 森友学園の資金難のため、近畿財務局は2014年4月には同学園との交渉打ち切りを検討していました。辰巳氏は「森友事件の核心は、(国有地の)貸し付け契約に後ろ向きだった国の対応が一変したことにある」と指摘しました。

 辰巳 14年4月、(学園理事長だった)籠池(泰典)氏が1枚の写真を提示した。籠池夫妻と安倍昭恵氏が学校予定地を見学している写真だ。このとき、二つの要望を突き付けた。審査の延長、契約を締結することを証する旨の文書を豊中市に提出すること。どういう結果になったか。

 太田充理財局長 いずれも基本的にその方向で進んでいた。

 辰巳 それだけでない、売り払いを前提にした貸し付けに「協力する」と変わる。なぜか。本省からの指示があったのでは。

 太田 本省が指示するのは普通の状況ではない。

 辰巳 今年になって出てきたリーガル(法律)文書で、近畿財務局管財部から法務監査官に宛てたメールがある。14年9月1日のものだが、「財務本省理財局より短期賃貸借(貸し付け期間3年)を利用した処理案を検討してもらいたいとの指示を受けた」とはっきり書かれている。

図

(写真)出典:財務省提出資料、2017年5月9日付け朝日新聞より辰巳事務所作成

図

(写真)出典:国交省提出資料より辰巳事務所作成

 本省の指示という“証拠”を突き付けた辰巳氏。太田理財局長はまともに答えられません。

 辰巳氏は「三くだり半つきつけて打ち切り寸前だったものが、籠池氏が3ショットの写真を見せた途端に近畿財務局は本省に相談して、本省から指示をして貸し付け契約について協力すべしとなった」と、昭恵氏の影響で財務省の態度が変わった経過を指摘し、「事実関係を見れば、昭恵氏が貸し付けに影響を与えたことは明白だ」と強調しました。

 決裁文書を改ざんした際、財務省が国交省にも改ざんを求めたとの報道について、辰巳氏は石井啓一国交相に確認。石井国交相は「現時点で事実関係が確認できていない」と否定しませんでした。辰巳氏は「(報道が)本当なら、昨年の時点で国交省は改ざんを知っていた。財務省と国交省はぐるでやっていたという話だ」と述べました。

 辰巳氏は、8億2千万円引きの根拠となった地下のごみ問題をただしました。国交省は、くい打ち部分は地下9・9メートル、それ以外は3・8メートルまでごみが埋まっているとして値引きを計算しています。辰巳氏は、工事業者が国交省に提出した現場写真を示してただしました。

 辰巳 ホワイトボードに書かれている深さは「3m」。データでは4メートルまで試掘したという記録になっているが、「3m」に見えないか。

 石井国交相 確かに看板は深さ「3m」と書いている。昨年から工事関係者に複数回確認しているが、いまだに説明がない。

 辰巳氏は、同じ写真を使い回している疑惑もあると追及。石井国交相は「その点についても昨年から工事関係者に回答をいただけていない」と答えました。

 辰巳氏は「3・8mの根拠は客観的な資料ではまったくない」と断じ、国会法104条による国政調査権の発動、関係者の証人喚問を求めました。


pageup