しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年3月12日(月)

きょうの潮流

 真新しい下駄箱に、きれいな教室。改修された校舎が子どもたちを待ちわびています。おととし6月に一部をのぞき避難指示が解除された福島・葛尾(かつらお)村。来月から小中学校が同じ学びやで授業を再開させます▼7年ぶりのふるさとでの学校を楽しみにする子どもら。しかし村の帰還率は15%にとどまり、通学が見込まれる生徒は小中あわせてまだ20人ほど。葛尾村を含め今春から5町村で学校が再開されますが、どこも生徒数は激減しています▼東京電力・福島第1原発事故の影響で、今も県発表の5万人を大きく上回る住民が避難を強いられている福島。いまだ帰還困難区域が広がる浪江町の国道を車で走っていると、日中にもかかわらずサルが何匹も道端に現れてきます▼家々はすたれ、田畑は林と化し、里山も荒れ放題。政府が「復興の進展」を強調すればするほど、被災地の現状や被災者の苦しみからかけ離れていきます。帰りたくても帰れない。災いをもたらした原発事故は収束の見通しさえたっていません▼賠償金が打ち切られ、途方に暮れている避難者も。共産党の馬場績(いさお)・浪江町議は「復興や復旧という言葉のかげで被災者の生活は困窮し、心身ともに疲れきっている。いったい国はどこを向いているのか」と憤ります▼存続の危機に直面する被災町村。葛尾村を視察した安倍首相は無責任にも子どもたちに「語り部になって」と。各地の原発を再稼働させている首相。かつて日本にはこんな町や村があったと語らせるつもりなのか。


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