しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年3月11日(日)

きょうの潮流

 今月1日の卒業式。岩手・大槌(おおつち)高校から72人の生徒が旅立ちました。「ここでの3年間は私たちに当たり前の生活のすばらしさを教えてくれた」▼仮設の小中学校を経て高校生活をすごした卒業生の代表が答辞を読みました。失敗から立ちあがった経験が自信になり力になる、失敗を恐れず、たくさんの挑戦をしてほしい。そう在校生に呼びかけたと、地元の新聞が伝えています▼中心部が津波に流され、1200人以上が犠牲になった大槌町。かさ上げされた更地には家屋が建ちはじめる一方で、いまだに住み続けられる場所や生業(なりわい)がなく、先の見通しが立たない被災者も。仮設住宅で暮らすお年寄りは「年金ではやっていけない」と訴えます▼あの大震災から7年。被災地では巨大な防潮堤が造られ、道路や橋、河川の護岸工事がすすめられています。コンクリートで覆われていくまち。そこに住民の姿はありません。共産党の阿部俊作・大槌町議は「町の未来がみえない」▼国は2020年度までを復興期間として事業や支援策の打ち切り、縮小に踏み出そうとしています。しかし、まちや被災者の生活再建はこれからです。人口の減少や先細る人手、地域のつながりを断たれて孤立する高齢者らの心のケアも深刻です▼先の卒業生たちの半分は就職するといいます。若者をはじめ、人びとが希望をもてるまちづくりが大きな課題になっている被災地の現状。槌音響けど、人の復興はなお遠い。それは人間に冷たい今の政治を映しだしています。


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