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日本共産党

2018年3月5日(月)

NHK日曜討論 井上参院幹事長の発言

 日本共産党の井上哲士参院幹事長は4日のNHK「日曜討論」で、参院での来年度予算案審議や「働き方改革」一括法案、憲法などについて、各党代表者と議論しました。


「森友文書」

文書改ざん疑惑徹底した解明を

 冒頭、参院に移った来年度予算案の審議に加え、「森友学園」文書の改ざん疑惑について議論となりました。

 野党各党からは、国会に提出された文書の改ざん疑惑について、「内閣総辞職すべきだ」など厳しい声が相次ぎました。

 井上 公文書が改ざんされていたなら、予算の審議や民主主義の土台が問われてきます。先日の参院予算委員会で「改ざんしていないなら、していないと言え」といっても否定できませんでした。参院予算委員会で与野党が一致して会議を行って得られた文書が改ざんされていたのなら、国会を愚弄(ぐろう)するものであり、内閣が吹っ飛ぶような話だと思います。徹底して事態を明らかにする必要があるし、佐川国税庁長官や安倍昭恵さんの証人喚問は不可欠だと思っています。まずこれを徹底追及しながら、アベノミクスの問題、際限のない軍事費の問題などを徹底追及する予算委員会にしたい。

「働き方改革」

高プロ制度危険 法案全体断念を

 討論は、政府がずさんなデータで裁量労働制の削除に追い込まれた「働き方改革」一括法案に移りました。とりわけ、「残業代ゼロ(高度プロフェッショナル)制度」の扱いが焦点となりました。

 井上 安倍首相自身が、今国会を「働き方改革国会だ」といって、法案は一体なものだと説明してきました。その柱である裁量労働制を削るというのであれば、一体のものとして法案全体を断念するのは当然だと思います。裁量労働制について首相は「答弁は撤回するがデータは撤回しない」と訳の分からない答弁をしていましたが、加藤厚労大臣は「白紙のものとして、改めて実態を把握する」と述べ、事実上撤回しています。高プロ制度についても、裁量労働制と同じデータで議論をしてきたわけでありますから、当然これは撤回すべきです。

 (裁量労働制、高プロ制度の)いずれも仕事の業務量については労働者に裁量がないんですね。むしろ高プロ制度は労働時間の規制を、年次有給休暇以外全部とっぱらうという、一層危険なものなので、全部含めて断念すべきだと強く求めたいと思います。

 野党各党からは高プロ制度について批判的な意見が相次ぎ、労政審での審議のやりなおしや法案の撤回を求める声が相次ぎました。一方、自民党の武見敬三参院議員は予定通り、裁量労働制を削除した「働き方改革」一括法案全体の提出に固執しました。

 井上 今回の根っこには安倍首相の姿勢があります。労働者の代表がいない産業競争力会議や規制改革会議で決めた枠の中で労政審をやり、労働者の権利がないがしろにされ、その中で裁量労働に都合のいいデータで答弁をしたということです。「働かせ方改悪」から「働き方改革」という方向に、労働者の生活と権利を根っこに置いた転換が必要です。私たちは残業時間週15時間、月45時間、年間360時間という大臣告示の法制化や仕事が終わってから11時間インターバルをおくなど抜本的な改正を求めたいと思います。

憲法問題

軍拡と海外派兵 際限ないことに

 さらに、安倍政権が年内に発議を狙っている憲法9条改悪が議題となりました。武見氏は「四つの課題について議論してきた」として、25日の自民党大会までに党内議論を集約して、「一つの素案として提案したい」と述べました。

 公明党の西田実仁参院議員は「加憲」論を主張して改憲は否定しませんでした。9条については「ただちに9条を変えなければ、平和が破られるということではない」と述べるにとどまりました。

 井上 いまやるべきことは生存権をはじめとして、現行憲法に追いついていない政治の実態を改めることだと思います。国民も改憲論議を急ぐべきではないというのが世論で多数だし、急いでいるのは安倍さんだけだと思います。四つの点といいましたが、中心は9条に自衛隊を書き込むということです。首相はさかんに「自衛隊の任務も権限も変わらない」と言いますが、いまの憲法の下でも従来の憲法解釈を覆して集団的自衛権の行使をできるようにしました。さらに「持てない」といってきた攻撃的兵器の保有が進められています。参院予算委員会では、ヘリ搭載の護衛艦「いずも」で対地攻撃を主任務とするF35Bステルス戦闘機の運用を検討していると初めて認めました。これで自衛隊を書き込んだら、際限ない海外での武力行使や、際限のない軍備拡大につながっていきます。発議そのものをすべきでないと思っています。

参院選挙制度

1票の格差拡大 自民党案を批判

 最後に、参院選挙区の「合区」解消など、選挙制度のあり方が議論になりました。

 武見氏は、「憲法の中に人口に基づく票の平等が書かれているが、地域の一体性を考えて、地方の活性化を実現する代表者を国会の中で確保すべきだ」として、選挙区選出の議員を事実上の「地域代表」にする考えを示しました。

 井上 自民党案は今以上に1票の格差を拡大させることになるものです。法の下の平等、投票価値の平等を求める憲法14条に相いれないし、地方代表にしてしまうと、国会議員を全国民の代表と定めた43条とも相いれない。もともと自民党は、1票の格差是正に関する司法判決を受けて、次は抜本改正をするという案は出しました。その抜本改正をやめて、1票の格差が拡大しても構わないというふうに憲法を変えるというのは、とんでもないことです。特定の県だけが合区になるのは不公平です。投票価値の平等を前提としながら、多様な民意を正確に議席に反映させるというブロック別の比例代表、かつて西岡議長が出されたものをたたき台にして議論すべきだと思います。


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