しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年3月2日(金)

主張

自民9条改憲議論

無制限の武力行使を許さない

 自民党の「憲法改正推進本部」(細田博之本部長)が、戦力不保持と交戦権否認を規定した9条2項の改定をめぐり党内意見の取りまとめに入っています。安倍晋三首相は2項を残し自衛隊を書き込むことを提案し、「自衛隊が『憲法違反』という声があっては思い切って活動できない」とか、「憲法に自衛隊を書き込んでも、任務や権限に変更は生じない」などと主張しています。とんでもありません。自衛隊を書き込めば、2項を残しても空文化し、無制限の武力行使に道を開きます。自衛隊が違憲か合憲かではなく、無制限の武力行使を許さないのが焦点です。

わざわざ書き込めば

 2月28日に開かれた推進本部の会合では、党内から提案された2項を残して3項か9条の2に自衛隊や自衛権を書き込む案や、2項そのものを廃止する案が紹介されました。首相の提案が軸になっており、再来週の会合から条文案を検討、25日の党大会で緊急事態条項などと合わせて改憲案を決定するとしています。まさに問答無用で改憲を推進する姿勢です。

 憲法9条は、戦前の日本が引き起こした侵略戦争への反省のうえに立って、1項で戦争の放棄を、2項で戦力不保持と交戦権否認を定めています。戦後の歴代政府は日本を支配したアメリカの意向に沿って再軍備を進め、自衛隊は「戦力」ではなく「必要最小限の実力組織」だと言い訳してきました。

 首相が提案するように、2項を廃止しなくても憲法に自衛隊を明記すれば、内閣や国会などの規定しかない憲法で自衛隊が“特別の地位”を占めることになり、いよいよその活動に歯止めがきかなくなります。政府はこれまでも「合憲」だと言い張り、危険な軍拡や安保法制=戦争法の制定を強行してきました。9条を改定しわざわざ自衛隊を書き込むと、後からできた方が優先するという法の原則もあって、2項の空文化が進むという指摘が相次いでいます。

 自衛隊はすでに安倍政権が憲法を踏みにじって強行した戦争法で、米軍の艦船や航空機の「防護」などを行うようになりました。しかしそれでも憲法9条2項が壁になって、海外で武力行使を目的にした戦闘には参加しないなどと言わざるをえません。そこで9条に自衛隊を書き込んで2項を空文化し、無制限の武力行使を可能にしようというのが首相の狙いです。

 「自衛権」と書き込めばそれこそ他国のために戦争を始める集団的自衛権の全面的な行使にも道を開きます。自民党内には2項そのものを廃止して自衛隊を「国防軍」にするなどの意見もあり、第1段階で自衛隊を書き込み、第2、第3の改憲を行うという意見まで出ています。「何も変わらない」と国民をだまして改憲を進めるのは、危険この上ないことです。

安倍改憲反対の署名広げ

 自民党は9条2項を残して自衛隊や自衛権を書き込むか、2項を廃止するかを主な選択肢として示し、取りまとめを急いでいます。しかし最近の世論調査でも「年内に(改憲案を)発議する必要はない」という意見が50%を占めます(「毎日」2月26日付)。9条があったからこそ、戦後の平和が守られたという声が圧倒的です。

 憲法と平和の破壊は絶対許せません。安倍改憲阻止の3000万人署名を広げに広げましょう。


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