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2018年2月23日(金)

主張

F16のタンク落下

事故続発の米軍機を飛ばすな

 在日米軍の航空機事故があまりにも多すぎます。今度は、米空軍三沢基地(青森県三沢市)のF16戦闘機が離陸直後にエンジン火災を起こし、小川原湖に2本の燃料タンクを投棄して同基地に緊急着陸しました(20日)。米軍の報道発表では「人のいない場所に投棄した」としていますが、落下現場から最も近い漁船までは約200メートルしか離れていなかったといいます。一つ間違えば住民を巻き添えにしかねない米軍機の重大事故が続発する異常事態です。安倍晋三政権は原因を徹底究明し、米軍機の飛行停止を含めた緊急総点検などを米側に毅然(きぜん)と迫るべきです。

海・空軍、海兵隊に及ぶ

 頻発する米軍機の事故は、空軍、海軍、海兵隊とさまざまな軍種に及びます。

 この2年間の主な事故を見ると、海兵隊では、普天間基地(沖縄県宜野湾市)の垂直離着陸輸送機オスプレイが同県名護市安部の海岸と豪州沖に墜落しています。エンジン吸気口のカバーを海上に落下させる事故も起こしました。同基地のCH53E輸送ヘリは隣接の小学校に窓を落下させました。保育園への部品落下も大きな問題になっています。牧草地に不時着・炎上する事故もありました。

 海兵隊岩国基地(山口県岩国市)の所属機も、FA18戦闘攻撃機が高知県沖で、AV8B攻撃機が沖縄本島沖で墜落しています。

 海軍はどうか―。三沢基地に暫定配備されている海軍のEA18G電子戦機が海上に燃料タンクを投棄する事故を起こしています。横須賀基地(神奈川県横須賀市)を母港にする原子力空母ロナルド・レーガン艦載のC2輸送機が沖ノ鳥島沖で墜落しています。

 空軍では、嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など1市2町)のF15戦闘機や、同基地に暫定配備されているF35A戦闘機の部品落下がありました。横田基地(東京都福生市など5市1町)では、所属のC130輸送機が投下した貨物がパラシュートから外れ、基地内に落下する事故も起こっています。

 事故が相次ぐ要因として指摘されているのは、2001年からのアフガニスタン戦争をはじめイラク戦争、過激組織ISの掃討作戦など長期にわたる海外派兵の継続と米国防予算の削減による装備の劣化や兵士の疲弊といった米軍の構造的な問題です。北朝鮮や中国との軍事緊張の高まりによる任務の激化も挙げられています。

 昨年の米下院軍事委員会の報告書は、米軍の現状について「空軍は創設以来、最小の規模になっており、最も老朽化している」とし、「1550人のパイロットと4000人の整備士が不足している」ことを明らかにしています。「過去2年間で人命と機体を失う海兵隊の航空機事故は50%増加した」とし、「2017年2月現在、海軍の戦闘機のうち飛行可能なのは半分以下だ」と述べています。

 海軍では、横須賀基地のイージス艦と民間船舶との衝突事故が相次いだことも看過できません。

日米地位協定の改定を

 日本での米軍機事故多発の背景には、日米地位協定に基づく特例法で、航空機の安全運航に関する航空法の規定(第6章など)が米軍に適用されない問題もあります。米軍機の危険な飛行を野放しにしている特例法の廃止を含め地位協定の抜本改定が不可欠です。


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