しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年2月21日(水)

きょうの潮流

 長時間残業する人は1人もいなかった。みんな平日の夜や週末、長期休暇を楽しんでいた―。若い頃にドイツで働く経験をした熊谷徹さんは、ゆとりある働き方に強い魅力を感じました▼その後、NHKの記者を8年間務めた熊谷さんはドイツに移住し、30年近くジャーナリストとして働いています。そして、真逆ともいえる両国の働き方を近著『5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人』で紹介しています▼1日10時間をこえる労働や日曜・祝日の労働は法律で禁止。半年間の平均労働時間は1日8時間をこえてはならない。ドイツは国による監視・制裁も厳しい。ところが日本では残業は事実上青天井、労働者の保護よりも企業側の論理を優先させていると▼安倍政権が「働き方改革」法案にもりこんだ裁量労働制の拡大が国会で大問題になっています。いくら働いても、事前に労使が合意した分だけを働いたとみなす裁量労働は長時間労働の野放しにつながり、すでに過労死も起きています▼それなのに裁量制のほうが一般の労働者よりも労働時間が短くなると、首相らは言い放ってきました。しかも、短さの根拠とされる偽りのデータを示して。こんな法案を出すこと自体、彼らの「改革」の正体を表しています▼熊谷さんによると「カローシ」はドイツでも日本を知るキーワードになっています。世界からみても異常な働かせ方。労働基準法が定める「労働者が人たるに値する生活を営むため」の条件を実行してこそ、本当の改革です。


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