しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

2018年2月17日(土)

きょうの潮流

 白い虹が太陽を貫く白虹貫日(はっこうかんじつ)。この現象は、古くから中国で兵乱の凶兆とされてきました。君主に危険が迫る不穏さを表す言葉として▼ちょうど100年前。「白虹日を貫けり」と記した新聞記事の一文が日本のジャーナリズムを根本から揺るがすことになりました。当時、米騒動に脅威を感じた寺内正毅(まさたけ)内閣は全国への波及をおそれ、それに関する記事の掲載を禁じました▼言論の自由を守れと、わき上がった一大運動。言論擁護と内閣弾劾をかかげた関西の新聞・通信社の大会で事件は起きました。先の言葉を使って大会の様子を伝えた大阪朝日新聞の記事に権力が襲いかかったのです▼社会不安をあおったとして発禁処分。新聞紙法違反に問われ、記者らは有罪となり、編集幹部が退社に追い込まれ、社長は右翼の暴漢に襲撃されました。戦前のジャーナリズムが権力に屈服していくきっかけとなった白虹事件です▼いままた安倍政権が特定の新聞をしつこくたたいています。森友疑惑をめぐる朝日新聞の報道を首相が国会で「真っ赤な嘘(うそ)」とまくしたて、自身のSNSに「哀れ」「惨め」と書き込む。批判するメディアをフェイクだと公言し、封じ込めようとするトランプ流にならったのか▼白虹事件によって、日本の軍国主義を批判していた「大阪朝日」はもとより、ほかの言論機関も沈黙のまま戦争への歩みに付き従っていきました。あれが転回点だった―。後の世にそういわれないためにも、メディアの真価が改めて問われるときです。


pageup