しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年2月8日(木)

きょうの潮流

 江戸の時代に雪国のくらしや風習を活写した『北越雪譜(ほくえつせっぷ)』にこんなくだりがあります。「今年もまたこの雪の中にあることかと雪を悲しむは辺郷の寒国に生まれたる不幸といふべし」▼雪に埋もれた地域の厳しい生活ぶりを、暖国の人たちに知ってもらいたい。豪雪の中で育った越後の商人、鈴木牧之(ぼくし)は生涯をかけてこの労作を世に出しました。「雪を観て楽しむ人の繁花の暖地に生まれたる天幸を羨(うらや)まざらんや」▼雪との格闘に明け暮れる日々。その大変さやつらさがなかなか伝わらないのは今も同じでしょう。強い寒気が居座り、列島冷え込む今年の冬。都会では雪が積もれば大騒ぎですが、日本海側は連日の大雪に見舞われています▼北陸を中心とした記録的な積雪が各地で被害をひろげています。石川から福井につづく国道8号では、およそ1400台の車が立ち往生。雪に閉じ込められた車中での中毒死、雪下ろしや除雪作業中の事故も相次いでいます▼食料品が届かないコンビニ、給油が制限されたスタンド。多くの犠牲者を出した1981年の「56豪雪」以来の積雪は、学校や工場、医療機関への影響をはじめ、生活のいたる所で支障をきたしています。早急な支援が求められます▼雪のくらしや、そこで育んできた精神文化は列島を形づくってきました。しかしいま、雪国といわれる地域では過疎化や高齢化が進み、豪雪に対応できずに消えていく集落もあります。その深刻な悲鳴を受けとめてこそ、大本からの支えにつながります。


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