しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

2018年2月4日(日)

主張

首相改憲議論発言

国民望まぬのに国会の義務か

 今年の年頭から改憲を「実現する年」にすると異様な意気込みを示す安倍晋三首相が、国会答弁で「国民が権利を実行するため、国会で真摯(しんし)な議論を深めることが必要で、私たちにはその義務がある」とまで言いだしました。1月31日の参院予算委で自民党議員に答えたものですが、施政方針演説などで「議論を深めることを期待」と述べてきたものの、「義務」とまで踏み込んだのは異例です。どの世論調査を見ても国民の多数は改憲を求めていません。にもかかわらず国会に改憲議論を「義務」だと押し付けるのは、憲法も国会もないがしろにするものです。

憲法の制定権者は国民

 日本国憲法はその前文の冒頭に、「日本国民は(中略)ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」とあるように、主権者は国民で、国民の意思に基づいて憲法が制定されていることに、議論の余地はありません。憲法96条は衆参両院でそれぞれ3分の2以上の議員の賛成で改憲を発議し、国民投票での過半数の賛成で決定すると定めています。国民の多数が求めてもいないのに「数の力」で改憲を発議し、国民投票に持ち込むことなど論外です。国民が望まない改憲議論を国会の「義務」などという論拠はどこにもありません。

 昨年の憲法記念日に、憲法9条に自衛隊を書き込むなどの改憲を2020年に施行すると公言して以来、安倍首相はことあるごとに改憲発言を繰り返し、とりわけ今年になってからは「実現の時」だと、3月の自民党大会までに自民党の改憲案をまとめようとするなど、いよいよ策動に拍車をかけています。しかし、改憲を望んでいる国民は少数で、とりわけ憲法9条に自衛隊を書き込むなど、安倍首相が目指す改憲は国民に支持されていません。そのことは、最近の新聞などの世論調査結果を見れば明らかです。

 9条改憲不要53%(日本世論調査会、1月3日付各紙)

 改憲の国会論議「急ぐ必要はない」67%(同)

 安倍政権での改憲反対54・8%(共同通信、1月15日付各紙)

 憲法に自衛隊を明記する首相の提案に「反対」52・7%(同)

 憲法改正は「優先的に取り組むべき課題だとは思わない」54%(「朝日」23日付)等々

 主権者である国民が望んでもいないのに、国民の頭越しで国会に改憲論議を押し付け、自衛隊を明記するなどの改憲案を発議しようというのは、まさに主権者の権利を侵害するものです。安倍首相は国会が発議しなければ改憲について投票する国民の権利が守られないように言いますが、それこそ詭弁(きべん)です。国民の意思を踏みにじって、国民の権利をうんぬんする資格は、首相にはありません。

憲法の私物化許さない

 そもそも憲法が定める国会議員の義務は、憲法尊重擁護の義務(99条)だけです。改憲議論が義務などという規定はありません。

 安倍首相はこのところ「国の形、理想の姿を示すものが憲法」などの発言を繰り返しています。この考えは、憲法は占領下で「押し付けられた」などとする首相の持論に基づくものです。特定の憲法観の押し付けこそ最悪の憲法私物化です。安倍改憲を許さず、憲法を守り生かすことが重要です。


pageup