しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年2月4日(日)

きょうの潮流

 多くの団地の設計を手がけた津端(つばた)修一さんは、自然との共生をめざした建築家でした。「家は暮らしの宝石箱でなくてはいけない」。3年前に亡くなるまで、その言葉を胸に抱いていたといいます▼人間にとって、生活の土台となる住宅。ついの住み家は安心して人生を過ごすために最も大切な存在です。しかしいま、高齢者や生活困窮者に立ち退きを命じるケースが多発し、家を失う人びとが増えています▼札幌の共同住宅の火災で焼け死んだ人たちも、ほとんどが生活保護を利用する高齢者でした。築50年の木造2階建て。老朽化にくわえ、防火設備や安全対策の不備が11人死亡の被害を招きました▼このところ、身寄りのない高齢者や生活に困っている人たちが暮らす施設やアパートで多数の犠牲者が出る火災が相次いでいます。そこには民間任せで住まいの貧困をもたらしている国の住宅政策があります▼日本の公営住宅の割合は全体の4%にも満たない。家賃の補助制度もない。これは先進国の中でかなり低いレベルで、とくに低所得者向けの住宅政策が弱い。専門家はそう指摘します。“住まいは人権”の立場にたち、住宅問題と社会保障を一体にしてすすめなければならないと▼東京都だけで4千人もいるというネットカフェ難民や、車中で暮らす人たち。人生のしまいに住む場所を追われる高齢者。一方で空き家は全国で増えていく。その解決策もみえない現状。行き場もなく漂い、長生きを呪うような、こんな国にだれがしたのか。


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