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2018年1月11日(木)

主張

女性の尊厳と平等

許し難いことへ「ノー」の勇気

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 セクハラや性的被害を受け、心に深い傷を抱えてきた女性が勇気をもってツイッター上で「#Me Too(私も被害にあった)」と告発する動きは、アメリカやヨーロッパで芸能界、政界、経済界を揺るがし、日本でも沈黙を破る動きが始まっています。

強いられた沈黙を破り

 対等平等な人間関係の社会をつくるために女性たちが大きな一歩を踏み出しました。この流れは、2018年、女性の尊厳と人権を確立するたたかいとして大きなうねりとなるでしょう。

 女性を性的な関心の対象としかみない意識や、対等な人間として人格を認める意識の欠如が社会に広く残されています。性的な言動をジョークだ、コミュニケーションだと勘違いし、セクハラがくりかえされています。上司という地位を使って飲食や同伴を強要し、性的行為を求めるなどの性暴力・強姦(ごうかん)の被害者は沈黙の下にいました。自ら性暴力被害を訴えて告発したジャーナリストの伊藤詩織さんの行動が、「許し難い」思いをしてきた女性たちの背中を押し、氷山の一角が現れてきたのです。

 国連女性差別撤廃条約は女性差別が生まれる要因と、女性が置かれている社会構造の改革を求めています。09年、女性差別撤廃委員会は日本政府の報告にもとづく履行状況の審査で厳しい指摘を行いました。そこでは家庭や社会に男女の役割と責任に関する根強い固定的性別役割分担意識があり、女性の人権の行使の障害になると懸念を表明しました。とくにメディアや教育による影響などを挙げ、女性労働者の不利益や意思決定への参加の低さをもたらす原因としています。メディアでのポルノがますます横行していること、性的に過剰な描写が女性を性的対象とみなす既存の固定観念を強めていること、それが女児へ悪影響を与えていることなどを懸念し、日本政府に改善措置を求めたのです。

 市民と野党の共闘が重視してきたのは「個人の尊厳」を守る政治の実現です。市民が自らの意志で主権者として立ち上がり行動に踏み出していった「原発ゼロ」の運動が沖縄新基地反対の「オール沖縄」へ、さらに戦争法反対から「安倍政治」を許さない政治実現へ、参院選や総選挙を経て市民と野党の共闘は歴史的な発展を続けています。女性の尊厳と平等を求める運動が、「個人の尊厳」を守る政治の実現とともに歩みを進めることは新たな解決への展望を開くものとなるでしょう。

 昨年、110年ぶりに刑法の性犯罪の要件や罰則が見直され、厳格化されたのも女性たちのたたかいと世論の力によるものです。

正当な評価と地位向上を

 米国ハリウッドで働く女性たちが新年1日、セクハラの撲滅と職場における均等待遇の実現に向けたキャンペーンを開始しました。

 日本でも、性的被害の背景には、男女の賃金格差、不安定な就労環境、役職や意思決定の場への女性の登用の遅れがあり、女性の役割や能力が正当に評価されていない現実があります。

 男性・男児にも性的被害は広がっています。沈黙を破り、女性たちが突き上げたこぶしと怒り、苦しみを必ず「人間としての尊厳」が守られる社会への転機とするため、いま政治と社会、一人ひとりの役割と責任が問われています。


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