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2018年1月5日(金)

難病法の軽減廃止 今月から負担増

患者不安 治療継続できず重症化も

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 治療法が確立していない難病患者のうち、一部の疾患患者の医療費負担を軽減する措置が昨年末で廃止されました。どんな問題が生じるのでしょうか―。

 (岩井亜紀)


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(写真)難病患者や家族が全国から参加した集会=2017年11月25日、東京都台東区

 1日からこの措置が廃止されたのは、パーキンソン病や潰瘍性大腸炎、多発性硬化症など56疾患です。

限度額倍以上に

 難病法施行(2015年1月)前までは、年収が200万円の患者の場合、通院時の自己負担限度額が月4250円でした。法施行後は原則的には、自己負担限度額が1万円に引き上げられました。法施行前から医療費助成を受けていた患者には、3年間限定で負担軽減措置が取られ、限度額が月5千円に抑えられてきました。

 軽減措置廃止で、1日から年収200万円の人の自己負担限度額が、1万円になりました。

 難病患者団体「膠原(こうげん)病友の会」などが実施した調査によると、軽減措置があっても、医療費の自己負担額が増えた患者は71・5%でした。

 「措置廃止で今後、多くの患者さんがさらに負担増を強いられることになるでしょう」

 日本難病・疾病団体協議会(JPA)の森幸子代表理事は指摘します。

 それだけではなく、症状によっては医療費助成が受けられなくなる患者も出ています。

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(写真)森幸子さん

助成対象外れる

 症状の程度にかかわらず医療費助成が受けられた患者にも、法施行後から「重症度分類」を導入し、「軽症」と認定されると医療費助成の対象外になってしまうからです。

 JPAには昨年10月末、対象外となる患者から不安の声が寄せられました。

 「月に1回程度の経過観察が主ですが、慢性進行型(の難病)なので、病状が常に進行しています。万が一病状が急変したら、指定難病医療受給者証がないと不安です」(神奈川県)

 「私の場合は日常生活もほどほどにできているので現在、(医療費助成の対象で)自己負担額は月額5千円ですけど、18年からの受給者証は難しいと言われました」(埼玉県)

 森さんは「重症度分類の基準が厳しく、『軽症』とされた患者さんであっても、とても軽症とは思えない症状を抱えている方も多い」と指摘します。

 「軽症」者には、特例があります。難病の医療費総額が3万3330円(医療保険3割負担の場合、自己負担が約1万円)を超える月が年間3回以上ある場合は、医療費の助成が受けられます。

 しかし、難病にかかる医療費だけで月の自己負担が1万円未満の患者は少なくありません。

 森さんは「『軽症』とされた患者さんも、治療を継続しているからこその軽症状態です。特異的な治療の継続が必要な場合は、引き続き医療費助成をして、重症化させない支援であるべきです」として、改善を求めています。


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