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2018年1月1日(月)

軍政が奪った赤ちゃん

捜し求め40年以上 127人目 身元判明

アルゼンチン 「祖母の会」発表

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 南米アルゼンチンで昨年暮れ、軍事政権(1976〜83年)下の人権侵害犠牲者の遺族たちに喜びの知らせが舞い込みました。軍政反対の活動家だった女性が拘束施設内で出産し、軍関係者に奪われた赤ちゃんの身元が新たに判明したのです。同様の身元判明は127人目。40年以上にわたり、肉親の行方を捜してきた人権団体「五月広場の祖母たち」(以下、祖母の会)が12月28日、首都ブエノスアイレスでの会見で明らかにしました。

 会見に出席したデカルロット会長は、現在同国西部メンドーサ在住の女性が、77年の4月か5月に中部コルドバ市内で軍隊に拉致され、行方不明となったマリア・デルカルメン・モヤノさんの娘であることが、目撃者の証言やDNA検査の結果判明したと発表しました。父親はモヤノさんと一緒に拉致・行方不明となったカルロス・ポブレテさんであることも明らかになりました。両親ともいまだに行方不明のままです。

 モヤノさんは拉致された当時妊娠7カ月か8カ月。後に、秘密の収容・拷問施設となっていたブエノスアイレス市内の海軍工科学校(ESMA)に移送され、女児を出産しました。出産時に立ち会った軍医も特定されていますが、女児の行方は不明のままでした。

 家族らはモヤノさんとポブレテさんの行方を捜すとともに、生まれたはずの赤ちゃんの所在も明らかにするため、「祖母の会」とともに2012年から検察当局に捜査を要請していました。

 アルゼンチンの軍政下では、拘束施設内で女性が出産した場合、その子どもを軍関係者家族が引き取って養子にしたり、子どもを欲しがっている家族に金銭で売り渡す行為が行われていました。

 「祖母の会」はこうした境遇で母親から引き離された赤ちゃんは約500人と推計。同会の活動で身元が明らかになったのは12月初めに続くものです。

 デカルロット氏は、さらに多くの人が本当の家族と再会できるよう活動を続ける決意を表明しました。ただ、今回判明した女性の氏名はプライバシーなどに配慮し、明らかにされていません。

 会見に同席したモヤノさんの姉アドリアナ・モヤノさんは、「生きているという知らせに心から満足です。私たちは彼女の名前も、どんな家族に育てられたのかも知りません。でも、彼女は生きている。時間はあります。私たちと会う場所と時間を選んでくれたらと願っています」と語りました。(菅原啓)


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