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2017年12月28日(木)

危険!安倍流「大学改革」 4

日本を戦争する国へ

科学技術丸ごと軍事化

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(写真)「軍学共同反対連絡会」の共同代表として防衛装備庁に安全保障技術研究推進制度の廃止を申し入れる池内氏(手前左)=3月7日、防衛省前

 軍拡を続ける安倍政権のもと初めて「我が国の安全保障の確保に資する」との文言が入った第5期科学技術基本計画。この計画を足掛かりに安倍政権が狙う科学の軍事化は大学の取り込みにとどまりません。

 「文科省、総合科学技術会議(内閣府)、経産省のなかにも魅力的、潜在的なデュアルユース(軍民両用技術)がいっぱいある。それをいかにうまく発掘し協調的に推進できるかが課題だ」

 日本防衛学会が11月に開いた研究大会で基調講演に立った渡辺秀明初代防衛装備庁長官(現政策研究大学院大学客員研究員)はこう述べ、大学と同時に他府省の進める科学研究との連携に熱いまなざしを送りました。視線の先には、各府省が所管する国立研究開発法人の研究や、内閣府が進める軍民両用技術も射程に入れた革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)があります。

官邸主導

 第5期計画を錦の御旗に、国の科学技術政策全体を軍事と結び付け、有用な成果を取り込んでいく―。渡辺氏は、そのためには安全保障にかかわる政府の科学技術政策を統括する司令塔が必要だと語ります。

 自民党が6月にまとめた提言は、司令塔機能を内閣府の科学技術・イノベーション会議(CSTI)が担うべきだとしています。CSTIの議長は安倍晋三首相。官邸主導で科学技術の軍事化を進める構想です。

 池内了名古屋大学名誉教授は、政府・自民党や防衛省の動きとともに、産業界を通じた科学の軍事化に注意を呼びかけます。

 池内氏は、日本学術会議の声明によって大学での軍事研究の流れに一定の歯止めがかかったものの、産業界は防衛省が研究資金を提供する安全保障技術研究推進制度を通じた軍事化の動きを強めていると指摘します。「今後は軍事研究の資金の流れが、軍から産、産から学へとなっていく可能性が高い」

 今年度の同制度の採択課題に大学からの応募は1件も入りませんでした。ところが、分担研究機関には5件に4大学(岡山大、東海大、東京工科大、東京農工大)が選ばれています。

大学隠し

 防衛学会研究大会に出席した角南(すなみ)篤内閣府参与は次のように語り、池内氏の懸念を裏付けています。

 「企業の方でファンド(防衛省の資金)をとり、企業と大学が連携することで(大学が)表立って前にでてくることを避けることも知恵の出し方としてはある」

 9条改憲、戦争する国づくりへと突き進む安倍政権は、2018年度予算案でも安全保障技術研究推進制度に101億円を計上。執念深く、かつ周到に大学の取り込みを狙っています。

 池内氏は、防衛省と文科省や経産省との省庁連携が進めば、大学にかかる圧力はいっそう強くなると指摘。研究費不足で困っている大学に防衛省や経産省からの天下り人事が増えていくことも予想されるといいます。「そうした事態が進行すれば、大学と科学の危機が加速され、学問自体の軍事化が進行しかねない。科学が平和に寄与してほしいと願う市民とともに軍学共同が進んでいく状況を阻止したい」

 科学と軍事をめぐるせめぎあいが、日本を戦争する国にしようとする安倍政権とのたたかいの、大きな焦点になっています。(佐久間亮)(おわり)


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