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2017年12月27日(水)

危険!安倍流「大学改革」 3

トップダウンの狙い

軍学共同への流れ加速

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 安倍政権が進める「戦争する国づくり」と「人づくり革命・生産性革命」が底部でつながっていると感じさせる議論が今秋、ありました。舞台となったのは神奈川県横須賀市の防衛大学校。例年通り11月末に開かれた日本防衛学会研究大会でのことです。

 壇上に上がった、渡辺秀明・初代防衛装備庁長官、角南(すなみ)篤・政策研究大学院大学副学長、西山淳一・元三菱重工業航宇宙事業本部顧問は口々に、大学での軍事研究が思惑通りに進まないことに不満を漏らしました。

 「大学で人事や運営を全員一致で決めるとなると一部の反対で進まない。物事の決め方や人事のやり方がどれくらいこれから柔軟になるかは、一つのカギになる」(角南氏)

軍民両用

 角南氏は、安倍政権の内閣府参与として科学技術・イノベーション政策を担当。イノベーションにつながる技術の発掘のために軍民両用技術(デュアルユース技術)に産学官で取り組むべきだというのが持論です。

 角南氏らのいら立ちの原因は、日本学術会議が3月に出した「軍事的安全保障研究に関する声明」です。声明は、防衛省が大学などに研究資金を提供する安全保障技術研究推進制度(2015年度開始)について「政府による研究への介入が著しく、問題が多い」と批判。研究者や大学に慎重な対応が広がり、同制度の予算は3年間で3億円から110億円に激増したにもかかわらず、大学の応募は同期間に58件から22件に減少しました。

 三菱重工でミサイル開発などに携わった西山氏は「学術会議の議論は全然論理的じゃない」と露骨に嫌悪感を示し、渡辺氏は「じゃっかん時間がかかる。辛抱するしかない」とぼやきました。

 大学内の「一部の反対」を気にせずに軍事研究を進めるために大学運営を合意型からトップダウンに改める―。軍事研究を進めるために角南氏が描く大学像は、安倍政権が「人づくり革命・生産性革命」で示した大学改革と重なります。

 経団連もトップダウン型の改革を迫るとともに、15年9月の「防衛産業政策の実行に向けた提言」で、防衛省と大学の連携や安全保障技術研究推進制度の拡充を求めました。

錦の御旗

 大学での軍事研究を財界が求めるなか「人づくり革命・生産性革命」で書かれたさらなるトップダウン型の改革や、理事の一定数を産業界出身者とする改革が現実になれば、大学での軍学共同の流れがいっそう強まる危険があります。

 もう一つ、防衛学会で強調されたことがあります。第5期科学技術基本計画です。安倍首相が議長を務める科学技術・イノベーション会議(CSTI)で昨年つくられた今後10年間を見据えた国の科学政策です。

 角南氏は、自ら関わった第5期計画に「我が国の安全保障の確保に資する」との文言が初めて入ったことで、CSTIに防衛相の出席が初めて要請されたと強調。「非常に大きなターニングポイントになった」と自賛すると、渡辺氏は「安全保障という言葉を角南先生のご尽力で載せていただいたことは大きな意義がある。進める基盤ができた」と謝意を示しました。

 こうした動きに、「軍学共同反対連絡会」の池内了名古屋大学名誉教授は「政治家や官僚が第5期計画を錦の御旗として、科学技術政策に大きな影響を与えてくる可能性がある」と警鐘を鳴らします。(つづく)


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