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2017年12月26日(火)

危険!安倍流「大学改革」 2

震源は財界

自治攻撃 下請け化迫る

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写真

(写真)安倍「大学改革」の震源は財界。写真は経団連会館

 安倍政権が進める大学改革の震源は財界です。

 「教授会がさまざまな決定権限を有しているので、大胆な改革は進まない」「一般社員が役員や社長を選んでいるようなもの」(北山禎介・三井住友銀行会長、『経済同友』2012年4月号)

経営論理

 経団連や経済同友会は長年、教授会の権限が強すぎるので、大学運営に経営感覚が欠けていると、教育研究の自主性を支えてきた大学自治を攻撃してきました。財界の要望を受け、安倍政権は14年、学校教育法を改定し、教授会を学長の諮問機関とし、学長の決定権を強めました。

 8日に決定した新たな経済政策パッケージも、生産性向上のために大学をイノベーションの拠点にするとし、大学を産業界の下請けにする意図を明確にしています。そのためにこれまで以上に企業経営の論理を大学に持ち込もうとしています。

 学長などのリーダーシップによる経営力向上を強調。人事面ではシニア研究者から若手へのポストや資金振り替えを迫り、シニアに自助努力による外部資金獲得を求めています。大学に籍を置きつつ企業などとも雇用契約を結ぶクロスアポイントメント制度や年俸制の導入、研究資金の申請時に設定した研究時間配分が守られているかといった研究者の管理強化もあげます。

 大学と企業に同時に籍を置くことになれば、勤務割合や給与分担が問題になります。年俸制や管理強化は、クロスアポイントメントの導入を前提に、大学の研究成果を企業に取り込みやすくするための改革です。

批判噴出

 神奈川大学の小森田秋夫教授は「ポスト振り替えは、若手研究者の不安定雇用が社会問題になるなか、国の予算を増やさず学内のやりくりでなんとかしろというもの」と指摘。今回の改革は研究者の立場をさらに不安定にし、研究力の向上ではなく、むしろ大学の危機を深めることになると語ります。

 パッケージには、中央教育審議会(文科相の諮問機関)で現在審議中の改革内容が多く含まれます。15日の中教審では政府による頭越しの決定に批判が噴出。学費免除に理事の一定数を産業界出身者とするなどの要件が課されたことについても「学生が入った大学によって支給が変わるのは制度設計としておかしい」(吉岡知哉・立教大学総長)などの批判が相次ぎました。

 安倍政権が財界の意向に沿って、トップダウンで大学教育と研究を大きく変えようとしていることに、政府内での矛盾も深まっています。(つづく)


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