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2017年12月26日(火)

きょうの潮流

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 師走の寒風のようにその空間は、冷たい安倍政治の空気を感じます。東京地裁の419号法廷です▼防衛省の陸上自衛隊衛生学校が発行していた『衛生学校記事』(内部誌)の開示公開を求める裁判。防衛省側は“調べたが資料は不存在、確認できなかった”との見解を繰り返します▼731細菌戦部隊の実態を研究する元慶応義塾大学教授の松村高夫さんらが裁判を見つめます。戦前の陸軍731部隊=関東軍防疫給水部。多数の中国人らを惨殺・人体実験をしてぺストなどの細菌を兵器用に研究、実戦使用した秘密部隊でした▼軍医将校のほかに、東大や京大、慶応大などの医学者が「技師」「嘱託」で闇の研究ネットワークをつくっていたことがわかっています。部隊幹部は戦後、日本を占領した米軍へのデータ提供を見返りに、戦争責任が免罪されました。衛生学校にも関係者が多数入隊しています▼「内部誌の研究は過去の残酷な物語を暴露するためではない。戦前の陸軍から米軍と自衛隊に引き継がれた隠された研究を明るみにだす手がかりになる」と松村さん。『衛生学校記事』の1号には生物兵器に関する米軍資料が掲載されています▼折しも公開された日本人初のノーベル賞受賞者、湯川秀樹の終戦当時の日記に、関与した軍の原爆研究の記述が。戦後、反核・平和を訴える原点となった同氏の苦々しい体験でしょう。ふたたび学問が“軍事の僕(しもべ)”にならないように―。いま軍学共同に反対する大学人らのたたかいの意味は重い。


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