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2017年12月24日(日)

主張

教員の働き方改革

業務の削減と定数増が必要

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 文部科学相の諮問機関、中央教育審議会(中教審)が、「学校における働き方改革」についての審議の「中間まとめ」を決めました。教員の長時間労働が社会的問題になるなか注目される動きです。

現場の主体性を大事に

 政府統計によると持ち帰り残業を含めると公立小学校で約6割、中学校で8割近い教員が過労死ラインの時間を超えて働いています。教員の働き方は他業種に比べても深刻です。しかも、それだけ働いても肝心の授業準備や子どもと接する時間がとれずに教員は悩んでいます。この問題は、教員の命と健康を守るとともに、教育の質を左右する、国民的な課題です。

 「中間まとめ」は、教員の業務の整理・削減にテーマをしぼりました。そのなかで、標準を大きく超えた授業時数は「教師の負担増加に直結する」とし、勤務時間の上限の目安を検討する必要があるとのべています。負担の重すぎる行政主導の研究授業、各学校でつくられる詳細すぎる年間指導計画の見直しなども盛り込まれました。これからの議論の足掛かりになるものです。

 同時に「中間まとめ」は、教員が担ってきた14の業務についての考え方も示しました。例えば「登下校に関する対応」「児童生徒が補導された時の対応」などは他の公的機関や保護者、地域住民などが担うとしています。「部活動」については非常勤の「部活動指導員」が大会の引率を行えるようにするなどの方向を打ち出しました。

 しかし、業務見直しの中には、子どもとの関係で本当にそれでいいのか慎重な判断が必要なものや、教育活動の画一化につながりかねないものも含まれています。それだけに、業務削減は各学校現場で教職員らが子どもや保護者らの意見も聞いて、真剣に議論して進めるべきです。「中間まとめ」も「押し付けではなく、基本的には各学校の主体性を大事にしながら行うべき」と述べました。

 教員の業務を肩代わりするとされる事務職員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーは増員や常勤化すべきです。部活動指導員は質の保障が課題で、いずれも予算の確保が重要です。

 業務削減をいうなら、「教育再生」の名で政府が一方的に押し付けてきた多くの施策が教員の自発性を奪いつつ、多忙化を深刻にしたことこそ、見直しが必要です。

 はっきりさせるべきことは、業務削減だけでは解決しないということです。不要不急の業務を削っても、今の教職員数では教員が本来の仕事をするのに足りません。小学校教員は1日平均4時間25分の授業をしています。文科省の言う通り「1時間の授業には1時間の準備等が必要」とすれば、それだけで1日9時間近い労働です。

立場超え解決へ共同を

 定数を増やし、一人の教員が受け持つ授業時間を削減することなしに根本的解決は不可能です。また、公立学校の教員に残業代がでない現行法制度の改正も必要です。これらはいずれも、政府が背を向けてきたことばかりです。中教審は最終報告に向け、正面から定数増や法制度を取り上げることが期待されます。

 教員も子どもも生き生きとすごせる学校にするため、立場を超えて議論を広げ知恵も出し合い、問題解決への共同を進めましょう。


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