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2017年12月5日(火)

障害者の通所施設

給食費の値上げ困る

来春から全額自己負担案

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 厚生労働省は通所施設を利用する低所得の障害者の給食代について、これまで実施していた負担軽減措置を廃止し来年4月から全額自己負担とする案を提示しました(11月30日付既報)。これに対し、利用者らが「通所を断念しなければならなくなる」「事業所の運営に決定的なダメージになる」と声を上げ、措置廃止をしないよう要請しています。(岩井亜紀)


 「みんなで食べる給食はおいしいし、楽しい。負担金が増えてほしくない。不安です」

 東京都江東区の社会福祉法人「のびのび福祉会」が運営する作業所に通う小山誠さん(仮名、45)はこう話し、目を伏せました。

 小山さんの給料はいま月約5千円、給食代は月6千円です。家族と同居。障害年金は家計に回し、自由に使えるのは給料分だけです。

 「母にこれ以上負担をかけられない」。同じ作業所に通う高井弘幸さん(同、31)の父親は脳梗塞で倒れてしまいました。家計も家事もほとんどが母親の肩にかかっています。「仕事も給食もちゃんとあるから、他の作業所ではなくここを選んだんだけど…」

 作業所施設長の入谷和寿さんは「給食はみんなの楽しみなだけではありません。重度障害で偏食もある人が、自宅やグループホームでは食べられなかった野菜を食べるようになったなど大事な支援の一つになっています」と強調します。

 現行では、通所施設利用者の給食費負担額が軽減されるよう措置が取られ、事業所などに公費が出ています(食事提供加算)。軽減措置が廃止されれば利用者の負担額は、2〜3倍近くになります。

 「加算廃止で給食代を据え置きにすれば、法人の収入は年1100万円以上マイナスになる。この分を手当てするには、受け入れ利用者数を増やして職員は増やさないなどする必要がある。手薄な支援になり、いずれにしても利用者に負担がかかってしまう」。同法人の青柳浩二執行理事は、こう述べます。

 中途障害を負い、原則1割の利用料負担が強いられている人たちにとってさらなる負担増は深刻です。

 同法人の別の作業所に通う56歳男性は昨年まで企業勤務でした。子どもは高校生、住宅ローンもあります。脳梗塞で倒れ、現在は高次脳機能障害で能力の低下がみられます。妻が働いていますが収入が減り、給食代に加え作業所の利用料月9300円の支払いに苦しんでいます。

 青柳さんは「年金も年々減額されている中で負担がさらに増えれば、人間らしい暮らしからかけ離れてしまうことになる」と述べ、加算廃止をしないよう訴えます。


利用控えの再来懸念

 障害者団体「きょうされん」の赤松英知常務理事の話 厚労省のヒアリングでは、ほとんどの団体が措置の継続を主張していました。

 負担軽減措置が廃止になれば、障害者運動で勝ち取った低所得の利用者負担無料の意味が失われることになります。加えて、他サービス利用の負担も復活される足掛かりになるのではないかと懸念します。障害者自立支援法施行(2006年4月)で利用料の原則1割負担が強いられ、利用者は回数を減らさざるを得ない事態や親子無理心中が各地で相次ぎました。

 この悲劇を再び引き起こしかねません。軽減措置対象者の範囲限定、負担額の変更なども含め後退するいかなる案に対しても、反対していきます。


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