「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2017年12月4日(月)

きょうの潮流

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 私たちに仕事をさせて下さい―。今から85年前の新聞各紙に大きく載った記事。それは女優たちが始めた職業団体「仕事クラブ」の紹介でした▼マネキンや子守り、マッチ配りやビラまきまで、なんでもござれ。なかには「ガリ版刷とあるのは左翼陣営の女性にとっては御手のもの」と報じた記事も。相次ぐ検閲や上演中止、次々と検挙される仲間たち。弾圧の嵐の中で芝居をつづけるために立ち上がりました▼戦争の足音が迫る当時、築地小劇場を舞台とした女優らが結成しました。生活苦にあえぎながら、生きることをあきらめない女性たち。そのたくましい姿がよみがえります。いま劇団民芸が都内で「『仕事クラブ』の女優たち」を上演中です▼日本の演劇プロデューサーの草分けを父にもった青木笙子さんの同名の著書をもとにしたものです。貧困や芝居、恋愛に悩みながらも舞台に立ちたいと願う女優たち。劇の作者・長田育恵さんは、自分自身を輝かせたいとさまざまな場所で生き方を模索する、今の女性や多くの人びとと重なるように思える、と▼同時に治安維持法によって、演劇そのものが窮地に立たされた時代。自由にものが言えない空気は秘密法や共謀罪が強行された現在につながります▼劇中、警察に捕まったひとりの女優が特高に向かって叫びます。「演劇は人間が創るのよ。今ここで生きている、人と人がぶつかり合って! 世の中が創っているのよ。あんただってその一員よ」。今をつむぎつづける演劇人の矜持(きょうじ)です。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって