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2017年12月2日(土)

きょうの潮流

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 残されたパソコンには旅の写真がごっそり入っていました。異国でのふれ合い。切り取った一枚一枚から人や自然への深い愛が伝わります▼輝いていた息子の生きた証しを知ってほしい。2012年12月2日、中央道・笹子トンネルの崩落事故で27歳の達(わたる)さんを亡くした上田敦子さんが、こみ上げる母の思いをつけて写真集を出しました。題名の『紫の空』は暮れなずむ空の色。それは、幸福の色だといいます▼〈人知れず花手向けたる墓石に頭垂れつつ涙わき出づ〉。同じ事故で娘の玲さんを失った松本邦夫さんは、時がたってから無念の心情を短歌に込めてきました。玲さんと達さんはシェアハウスの仲間。友人たちと山梨の温泉に行った帰りのことでした▼140メートルにわたってコンクリートの天井板が落ち、日本の高速道路上で史上最多の死者を出した事故から5年。トンネルを管理する当時の会社社長らが書類送検されました。天井板を支えるボルトの確認が不十分だったと▼点検さえちゃんとしていたら…。子どもたちの命を奪ったのは利益第一主義で、十分な保守点検計画を立てさせなかった経営者トップに責任がある。遺族は今も原因の究明、責任追及、そして再発防止を求めて声を上げています▼国の発展にともない、次々と造られていった建物や道路、トンネルや橋。その多くが老朽化しています。犠牲になった彼らが命に代えて、教えてくれた大切なこと。人間がつくったものは、いつか壊れる。つねに備えを怠ってはならない。


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