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2017年11月30日(木)

障害者通所施設の食費

全額自己負担案を提示

厚労省

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 通所施設を利用する低所得の障害者に対する食費に関して、厚生労働省は29日までに、来年度から全額自己負担とする案を示しました。障害者は重い負担増を強いられることになります。

 通所施設利用の障害者の食費に関しては負担軽減措置が取られており、月22日施設利用の場合、現在は食費負担が月約5千円です。軽減措置が廃止されると、約1万4千円に負担が重くなります。

 負担増になるのは、就労支援や生産活動、入浴、食事など障害者の日中活動を支援する事業所を利用する障害者。生活介護や就労継続支援B型のサービスだけでも、全国で延べ約50万人が利用しています。このうち事業所の7割が、軽減措置の対象になっています。

 障害者自立支援法が2006年4月に施行され、通所施設や短期入所を利用した場合、食費は原則として全額自己負担になりました。それまでは食費のうち食材料費だけの自己負担だったため、同法施行後3年間は負担軽減措置が取られていました。

 障害者団体からの強い要望から、これまで3回の報酬改定では、期限を延長してきたと同省は説明します。

 一方、今回の負担軽減廃止の背景として、厚労省は障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団との基本合意(10年1月)などで低所得者の利用負担は無料になっていると説明。93・3%の人が無料で、給付全体に占める利用者負担の割合は0・26%だとしています。

暮らしの実態みず

 生活介護などの通所施設を利用する障害者の多くは、年金と工賃が主な収入源です。障害者団体「きょうされん」の実態調査(2016年5月)では、98・1%の障害者が年収200万円以下です。こうした状況で食費負担増となれば、多くの障害者の手元には自由に使えるお金がこれまで以上に少なくなります。

 日本障害者センターの山ア光弘事務局次長は「政府は障害福祉サービス給付全体に占める自己負担割合がわずかだというが、障害者本人の暮らしぶりをみていない」と批判します。

 障害者への負担増をめぐっては、障害が重いほど負担も重くなる障害者自立支援法に対し全国の障害者が08年から違憲訴訟を起こしました。

 和解にあたり国と結んだ「基本合意」は、「障害者の人間としての尊厳を深く傷つけたことに対し、…反省の意を表明するとともに、この反省を踏まえ、今後の政策の立案・実施にあたる」と明記しています。そのうえで、「当面の措置」として低所得者の利用負担を無料としたのです。

 にもかかわらず再度、負担増を押し付けることは「基本合意」の趣旨にも反し、許されることではありません。(岩井亜紀)


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