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2017年11月23日(木)

きょうの潮流

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 「一葉忌 手首細くも働く手」(鈴木真砂女(まさじょ))。23日は明治の作家、樋口一葉の命日です▼「大つごもり」に始まる代表作を22歳から次々に発表し24歳で亡くなりました。平安時代の古文の香りを残す文体が魅力的です。雅俗折衷体といわれます▼劇「頭痛肩こり樋口一葉」の作者、故井上ひさしさんが「作者妄想インタビュー 樋口一葉に聞く」を書いています。あの世の一葉に会って話を聞く奇想天外な文章です。生前、貧困と病に苦しんだ一葉に向かって「あなたほど幸福な方は珍しい」と言ってのけ、怒らせます▼理由は二つ。名作を書いてすぐ死ぬという小説家として理想的人生だったこと。もう一つは「文語体の文章史の最後に立ち会うという贈り物」を歴史から受け取ったことです。早世したため、その後の言文一致体に巻き込まれずに済んだと井上さんは言います▼「廻(まわ)れば大門の見かへり柳いと長けれど」で始まる「たけくらべ」の出だしは声に出して読むと、古文のリズムが心地よく響きます。よい文章は声に出して読むべきものだと実感させられます▼明治期、多くの人が本や新聞を読むようになりましたが、どういう文体で書くかが大問題でした。今私たちが文体の苦労なく日本語を書くことができるのは先人たちの苦労があったからこそ。「独り灯のもとに文を広げて、見ぬ世の人を友とするぞ、こよなう慰むわざなる」(徒然草)。読書は古人との対話です。秋の夜長に一葉の優雅な文章を味わってみてはどうでしょう。


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