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2017年11月12日(日)

ローマ法王庁国際会議

核兵器廃絶へ対話強調

禁止条約反対論に批判次々

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 【バチカン市=伊藤寿庸】ローマ法王庁が開いた「核兵器のない世界と統合的軍縮への展望」(10〜11日)では、核兵器禁止条約をめぐる画期的意義、核兵器の非人道性、世界の貧困克服など開発問題との関連など、さまざまな角度から議論を展開しました。


 主催者の法王庁は、12億3000万人ともいわれるカトリック信者の最高機関。「バチカン市国」という国家でもあります。9月20日に核兵器禁止条約に最初に署名した50カ国のうちの一つです。

 会議では、北朝鮮の核開発、トランプ米大統領の脅迫などの緊張した情勢が大きなテーマになりました。

 法王庁国務長官(首相に相当)のパロリン枢機卿は、「核兵器の脅威に対する対応は、相互の信頼に基づく集団的で協調したものでなければならない」と述べ、「その信頼は、対話でのみつくりだせる」と強調しました。

 人道的側面から核兵器禁止条約の批准の重要性を呼び掛けたのは、赤十字国際委員会のフランソワ・ブニョン博士。赤十字が原爆投下直後の広島で救護活動に当たった歴史に触れ、「核爆発後の生存者を支援しながら、同時に支援者を保護する効果的な手段はない」と指摘しました。

 対人地雷条約でノーベル平和賞を受賞したジョディ・ウィリアムズ氏は、「子どもがやるようにののしり合っている2人の男が、核兵器を使用する能力を持ち、何百万人もの人々を殺すことができる。これを許すシステムは狂気だ」と怒りを込めて発言しました。

 他方、北大西洋条約機構(NATO)のゴッテモラー事務局次長(オバマ前米政権の元高官)は、「核兵器禁止条約は、核兵器廃絶に貢献しない」と反対論を展開。

 これには「核兵器禁止条約は、核不拡散条約(NPT)第6条(核廃絶義務)の具体化だ」(オーストリア)、「核兵器がなくなった時に本当の安全がやってくる」(「核兵器廃絶国際キャンペーン」のフィン事務局長)などと批判が相次ぎました。

 20代の学生は会場から「私たちが核兵器を終わらせる新しい世代になる」と発言し、大きな拍手を受けました。

ヒバクシャ国際署名ローマ法王に手渡す

被爆者の和田さん

写真

(写真)ローマ法王との面会で手渡したヒバクシャ国際署名と折り鶴を持つ和田征子さん=10日、バチカン市(伊藤寿庸撮影)

 【バチカン市=伊藤寿庸】ローマ法王庁が主催する国際会議「核兵器のない世界と統合的軍縮への展望」に、日本の被爆者の代表として出席している長崎の被爆者、和田征子(まさこ)さん(74)=日本原水爆被害者団体協議会事務局次長=は10日、フランシスコ・ローマ法王との面会の機会に、イタリア語版の「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」(「ヒバクシャ国際署名」)を手渡しました。

 和田さんは、親戚の104歳の女性が折った赤い折り鶴とともに署名用紙を手渡し、「長崎の被爆者です。署名を集めているので、ぜひ署名をお願いしたい」と呼び掛けました。

 その場での返答はなかったものの、和田さんは、法王がスピーチのなかで「被爆者」と言う言葉を使い、核兵器の非人道性に触れたことについて「いいお言葉だった」と語っていました。

 和田さんは11日に、「原爆を生き延びて」と題して証言することになっており、「核兵器がいかに非人道的な兵器か、被爆者の受けた痛み、苦しみ、もし使われれば、同じ苦しみを世界中が負うことになることを伝えたい」と語っています。


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