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2017年9月25日(月)

主張

「給付型奨学金」

対象の規模はまだまだ小さい

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 返済不要の「給付型奨学金」制度の抜本的拡充を求める声が強まっています。来年4月から大学などの新入生に「本格実施」される予定ですが、文部科学省の来年度予算の概算要求では、対象者は約2万人と極めて小規模にとどめたままです。「貸与型」しかなかった日本の高等教育の奨学金制度で初めて「給付型」がスタートするというときに、あまりにも貧弱です。多くの学生と保護者、国民の切実な願いにこたえる制度に抜本的に改革することが急務です。

切実な願いに見合わず

 給付型奨学金は、長年にわたる学生や保護者、教育関係者の粘り強い運動、日本共産党の国会論戦などの力で実現したものです。

 今年4月から私立の自宅生約2800人分(月4万円)を対象に先行実施が始まり、来年度から月2万〜4万円を約2万人に支給するという計画です。これは1学年の学生の人数でみるとわずか「55人に1人」という、極めて“狭き門”にしかなりません。

 貧困と格差が広がり家計収入が減少する中で、学生や保護者の負担も限界を超え、進学を断念する人も少なくありません。ようやく入学しても在学中は多くがアルバイトに追われています。いまや学生の2人に1人が奨学金を借りなければならないのが現実です。

 返済が必要な貸与型を借りた場合、卒業後の返済額は1人平均約300万円に上ります。雇用と収入が不安定で奨学金を返済できない人が増えるとともに、サラ金並みの厳しい取り立てが若者を追い詰めています。給付型奨学金は圧倒的多数の学生の痛切な要求であることは明らかです。いまの2万人規模ではとても「本格実施」の名に値しません。

 規模が小さいこととあわせ、仕組みも問題だらけです。対象者は住民税非課税世帯(年収250万円未満程度)で、かつ「成績優秀者」と厳しく限定しました。

 国立大学の場合、住民税非課税世帯は授業料減免の対象なので、支給額が調整され、自宅外生は月額3万円が1万円に減額となり、自宅生は同2万円がゼロになってしまいます。

 学業成績が不振な者には返還を求める場合があると法律に明記しており、成績判断のみで切り捨てるのかと批判を受けています。

 給付制奨学金の運用実態についての全日本教職員組合(全教)の緊急調査(8月末まとめ)によると、対象者の選考を任された高校側からは「誰が低所得か選考しなければならず拷問のようだ」「どの世帯も同じように苦しくて成績で決めるしかないのが問題だ」「希望するすべての生徒が申し込みできる制度に」などの声が寄せられました。制度の検証と見直しこそ必要です。

税の集め方・使い方変え

 日本共産党は、(1)大学の授業料を国立も私立も公立も段階的に引き下げ10年間で半減する(2)月額3万円(年間36万円)の給付型奨学金を70万人(学生総数の4人に1人)に支給する制度をまず創設し、規模を拡大する―などの抜本的な改革を提案しています。

 税金の集め方と使い方を変え、高等教育予算を経済協力開発機構(OECD)平均並みに引き上げることが求められます。憲法が掲げる教育の機会均等にもとづく政治の実現がいよいよ重要です。


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