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2017年9月6日(水)

きょうの潮流

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 NHKのドラマ「おんな城主直虎」の題材となっている井伊家は江戸時代、能を大事にしました▼能に登場する武将は大抵暗い。源義経も死後、争いの絶えない修羅(しゅら)の世界をさまよいます。能は武家に庇護(ひご)された芸能です。戦闘集団だった武士だからこそ、戦争のむごさを知っていたのでしょう▼「直虎」の劇中、実在した人物の中で、穏やかな晩年を過ごしたのは今川氏真(うじざね)でしょう。領国を奪われ流浪しますが、後年、徳川家康に領地を与えられ、江戸で亡くなります。推定77歳。所領は東京都杉並区今川として名をとどめています。学校や病院が立つ住宅地です。春には今川の菩提寺、観泉寺で桜が咲き誇ります▼痛ましい最期と想像されるのは、直虎がいつくしみ育てた井伊直政です。関ケ原の合戦の功で今の滋賀県彦根市に18万石の領地を与えられ、家康に重用されます。しかし関ケ原の2年後、戦傷のため41歳で死去。相当苦痛にさいなまれたはずです▼井伊家をモデルにしたのが、野上弥生子の長編小説『迷路』に登場する「江島宗通(むねみち)」です。幕末に暗殺された大老、井伊直弼(なおすけ)の孫という設定です。祖父を踏み台にした明治以来の権力を憎み、上流階級に属しながら侵略戦争に非協力を貫きます▼宗通が疎開を拒否し、やがて焼夷(しょうい)弾が降る東京で死を覚悟して生きるところで物語は終わります。戦後天下をとるのでは、と宗通が最後に期待をかけたのが「アカ」と呼ばれた若者たちです。フィクションの世界で見る井伊と反戦の接点です。


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