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2017年8月27日(日)

主張

食料自給率の下落

農政の転換がいよいよ急務

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 長期に低迷している日本の食料自給率がさらに下がりました。農林水産省の8月の発表では、2016年度の食料自給率(カロリーベース)は15年度から1ポイント下落し38%となりました。食料自給率は国内の食料消費が国内の農業生産でどの程度まかなえているかを示す指標です。6割以上が外国頼みというのは、食の安定供給の土台を揺るがす大問題です。日本農業を弱体化させた自民党を中心とする歴代政権の責任は重大です。

食料生産の基盤の弱さ

 日本の食料自給率は1965年度には73%ありました。その後下がり続け2010年度からは39%と低迷してきました。16年度の38%は、米の凶作でタイ米を緊急輸入した1993年度の37%に次ぐ史上2番目の低さです。今回の数字を小数点以下まで見ると37・58%で、2ポイント近い下落が実態です。安倍晋三政権が15年に決めた「45%」の目標には遠く及びません。

 農水省は下落の理由に北海道の台風被害などをあげます。農業が天候に左右されることは避けられません。問題なのは長期に低迷していることで、日本の食料生産の基盤の弱さは深刻です。

 各国の食料自給率は、米国130%、ドイツ95%、英国63%などとなっており、日本は先進国中で最低水準です。基礎食料である穀物の日本の自給率は28%にすぎません。人口1億人以上の国で3割を切る国は日本だけです。食料を国民に保障する責務を放棄している姿を浮き彫りにしています。

 人口増、途上国・新興国の経済発展にともなう食料需要の増加、温暖化による異常気象など、今後の世界で食料がひっ迫・不足する危険は現実のものとなっています。日本が自国の農業生産をなおざりにする一方で、外国から大量の食料を買い付けることは、「飢餓を輸出」することに等しいものです。日本が食料自給率を上げることは、自国のことだけでなく、国際社会への責任でもあります。

 歴代政権のもとで日本の農業は困難な状況に置かれています。農業に中心的に従事する人は約150万人で前年より約8万人も減りました。農地も1961年のピーク時から7割に減少しました。

 欧米の農業が手厚い価格保障や所得補償などで競争力を保ったのに対し、日本では農産物の輸入自由化政策で、安い外国産との過酷な競争にさらされ続けています。安倍政権はTPP(環太平洋連携協定)や日欧EPA(経済連携協定)を推進し、農産物のいっそうの輸入拡大をすすめ、国内農業には「外国産と競争できる農業」として画一的な大規模化やコスト削減を迫っています。農家の願いに逆らい、大多数の農業経営を切り捨て、農村の崩壊を招くやり方では、食料自給率がさらに下落することが避けられません。

農業に励める条件づくり

 「食料はできるかぎり国内で作るほうがよい」が世論調査で9割を占めるなど国民は農業の振興を願っています。若者を中心に“田園回帰”の流れも始まっています。価格保障や所得補償の充実など安心して農業に励める条件を整備し、規模で選別するのでなく大小多様な家族経営が共存できる担い手育成政策が必要です。食料主権を保障する貿易ルールの確立も欠かせません。日本農政の根本的な転換がいよいよ急がれます。


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