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2017年8月23日(水)

主張

豪雨災害の対策

従来の発想超えた支援・備えを

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 台風や不安定な大気の影響などによる記録的豪雨が日本列島各地に被害をもたらしています。とりわけ7月初めの九州北部豪雨被害は甚大で、福岡、大分両県の被災地の救援、復旧は大きな困難に直面しています。かつてない大規模な災害には、それに見合った思い切った対策が必要です。国は従来の制度の枠にとらわれず、被災者や自治体の要望を受け止め、復旧・復興に希望が持てる支援を抜本的に強めることが求められます。

地域全体が壊滅的な打撃

 死者と行方不明者が41人にのぼる九州北部豪雨災害の発生から1月半―。福岡県の朝倉市と東峰村、大分県日田市の被災地の状況は依然深刻です。1日の雨量が平年の1カ月分に匹敵する、すさまじい豪雨に襲われた地域では、いたるところで山腹崩壊がおき、濁流や土石流で運ばれた大量の土砂や流木は、山あいの集落の風景を一変させました。泥や流木が流れ込んだ家屋、工場、田畑やビニールハウスは無残な姿をさらし、寸断された鉄道や道路の復旧もなかなか見通しがたちません。

 地域が丸ごと壊滅的な打撃をうけた被災地では、住民も自治体も救援・復旧へ懸命に努力していますが、現地の力だけでは到底解決できません。東日本大震災後に改定された災害対策基本法は、被災者一人ひとりの生活再建を図ることを明確にしています。政府は、同法を踏まえ、手厚い財政的な支援をはじめ被災者に寄り添い、生活再建と生(なり)業(わい)再生ができるよう全力を挙げるべきです。

 九州北部豪雨の後も、局地的な記録的豪雨は全国各地で相次いでいます。7月末に発生した台風5号は温帯低気圧に変わるまで18日間かかる“長寿台風”となり、九州、西日本、東海・北陸、東日本の広範囲で建物への浸水、河川の増水・氾濫、土砂崩れなどの被害を引き起こしました。

 気象庁の観測統計によれば、「非常に激しい雨」とされる毎時50ミリ以上の雨の年間平均回数は、1976〜85年の10年間より、2007〜16年の10年間の方が3割以上も増えていました。地球温暖化との関係が指摘されており、局地的な豪雨は全国どこでも起こりうる危険性を示しています。

 3年前の2014年8月20日、広島市では大規模な土砂災害が発生し、70人以上が犠牲となりました。15年9月には鬼怒川の氾濫・堤防決壊で茨城県常総市の3分の1が水没する豪雨災害がありました。16年8月は台風のもたらした豪雨によって岩手県の高齢者施設が濁流にのまれ、多くのお年寄りの命が奪われるなどしました。

 近年頻発する豪雨によって、毎年のように大きな被害と犠牲がでる事実は深刻です。もはや「想定外」ではすまされません。

過去の経験にとらわれず

 過去に例のない集中豪雨は、それまで長年かけて形成されてきた地形や地域の状況を一気に激変させます。従来の経験や発想にとらわれず警報の出し方、避難の仕方、被災者支援などをつねに点検し、拡充する国・自治体の役割が重要となっています。自力避難が難しい高齢者、障害者、子ども、妊婦などへの対策も不可欠です。

 住民の要望をしっかりと受け止め、地域ぐるみで迅速に対応できる、きめ細かな防災の仕組みづくりが急がれます。


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