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2017年8月11日(金)

きょうの潮流

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 「日本の上空には空の水道が集中している」。雨が多い日本の自然条件をこう言い表した倉嶋厚さんが亡くなりました。93歳▼気象学者でエッセイスト。NHKで気象キャスターを務めました。豊富な知識、わかりやすい解説、親しみやすい語り口で人気を博しました。恵みをもたらす雨。同時に災害への備えを怠りなくと呼びかけました▼倉嶋さんらが監修して昨年出版された『風と雲のことば辞典』(講談社)には1651項目の語義が収められています。大半は数行の簡潔な記述ですが「爆風」は18行、「きのこ雲」は29行。測候所員の原爆体験や証言でつづられています。原爆の爆風は「地球上に二度と吹いてはならない風」と述べました▼倉嶋さんは1944年、徴兵年齢引き下げのため気象の専門学校を繰り上げ卒業させられました。海軍に入隊し、特攻隊の出撃基地で天気図を描く日々でした▼戦後は気象庁職員。災害から国民を守っているという誇りを持てたことは幸せだったと述懐しています。鹿児島気象台長に就いたとき、かつて特攻機が飛び立った自衛隊鹿(かの)屋(や)基地を訪れ、涙を流しました▼97年に妻、泰子さんに先立たれた後、喪失感から自死を考えたほどのうつ病に。「暗いトンネル」を抜けた後、自分の病気を『やまない雨はない』(文芸春秋)に書きました。うつを克服できたのは時間と医療、人の手助けのおかげだったと言います。脳について勉強した上で「うつは必ず治る病気」と倉嶋さん。徹底した科学者でした。


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