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2017年6月11日(日)

主張

「加計学園」疑惑

安倍首相はなぜ自ら調査せぬ

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 安倍晋三首相の「腹心の友」が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)の愛媛県今治市での獣医学部開設をめぐり、首相らの関与があったのではないかという疑惑は、「総理のご意向」と書かれた文書や関係者の証言などが次々明らかになっているのに、肝心の首相らが国会での追及に答えようとせず、疑惑は深まる一方です。国民の批判を浴び、文部科学省はようやく文書の再調査を表明しましたが、期日などは不明確で、内閣府は再調査を拒否したままです。首相が依然解明に後ろ向きなのは、まさに“痛い腹”を探られたくないためです。

“痛い腹”探られたくない

 安倍首相や山本幸三内閣府・地方創生担当相らは、「加計学園」の獣医学部開設を「通常の手続き」「民主党政権時代から検討してきた」などと説明しますが、地方の要望で決まる「構造改革特区」と首相が議長の「特区諮問会議」がトップダウンで決める「国家戦略特区」とは首相権限の強さは違います。今治市の「加計学園」獣医学部は長期間設置が決まらなかったのに安倍政権が2012年に復活し、15年末に今治市が「国家戦略特区」に指定されたとたん一気に加速したもので、それだけでもうさん臭さは十分です。

 急速に進んだのは、16年8月の安倍政権の内閣改造で山本氏が大臣に就任した後で、9月から10月にかけ、「獣医学部新設は総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などと内閣府が発言したとする文書が文科省で作られました。菅義偉官房長官は「怪文書」と決めつけ、松野博一文科相はその場しのぎの調査で文書を否定しましたが、当時の前川喜平・文科次官が「本物」と認め、その後も文書が添付されたメールが文科省内の複数の職員に送られていたことや省内の共有フォルダにも文書があったことが明らかになり、ごまかしが通用しなくなりました。これまで再調査さえ拒否してきた首相や官房長官らの不誠実な態度が厳しく問われます。

 内閣府が「総理のご意向」などと文科省に圧力をかけたほぼ同じ時期、「加計学園」の理事も務めていた木曽功内閣官房参与や首相側近の和泉洋人補佐官が、前川次官らに手続きを早くするよう働きかけていたことも判明しました。「総理が言えないから私が言う」と前川氏に発言したとされる和泉氏は「覚えていない」などと言い訳していますが、発言そのものは否定しておらず、和泉氏を呼んで確かめれば明らかになることです。安倍首相自身の説明責任とともに、前川氏、木曽氏、和泉氏などの国会喚問が不可欠です。

「フレンド・ファースト」

 首相官邸と内閣府に押し切られた文科省は事実上「加計学園」1校に絞って獣医学部開設を受け付け、8月までには結論を出そうとしています。「規制緩和」どころか潤ったのは「加計学園」1校だけで、文字通り「加計学園」ありきの国政の私物化です。

 「加計学園」には今治市が37億円の土地を提供し県と市が総事業費のうち96億円を負担します。国有地払い下げ価格を9億円近く値引きした「森友学園」よりはるかに巨額です。安倍首相の「腹心の友」のために政治をゆがめた「フレンド・ファースト」の政治は根本からただされるべきです。


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