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2017年6月5日(月)

主張

高等教育の無償化

改憲は不要、ただちに踏み出せ

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 安倍晋三首相は9条に自衛隊を明記する改憲とあわせて、「高等教育(大学など)の無償化」を改憲理由にあげています。しかし無償化は憲法を変えなくても、法律を変え、予算を確保すればできることです。高すぎる学費を何とかしてほしいという学生や親の切実な要求を改憲に利用しようというのは全くの筋違いです。本気で無償化するというなら、直ちに具体策に踏み出すべきです。

現憲法の完全実施こそ

 日本国憲法26条は「義務教育は、これを無償とする」としていますが、義務教育以外の無償化を禁止してはいません。むしろ同条は「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」と、教育を基本的人権の柱の一つに位置付けています。

 憲法の規定を受け教育基本法4条は「すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず…経済的地位又は門地によって、教育上差別されない」と定めています。教育を受ける権利が経済的理由で左右されてはならないというのが憲法の精神です。憲法は高等教育を含む教育全体の無償化に十分対応できる内容を備えています。

 首相が真剣に「高等教育も全ての国民に真に開かれたものとしなければならない」(「読売」3日付インタビュー)というなら、やるべきことは改憲ではなく、憲法26条の精神にもとづく政治です。

 国際人権規約の中等教育(高校など)と高等教育の段階的無償化を定めた条項について、日本政府は長年にわたって留保してきましたが、民主党政権時代の2012年に留保を撤回し、安倍政権もそれを踏襲しています。憲法を変えなくても無償化できることを政府自身の行動が示しているのです。

 そもそも歴代自民党政権は高学費を生み、高等教育の無償化に逆行してきました。

 1971年には1万2000円だった国立大学の授業料は、「受益者負担」の名で年々大幅に引き上げられました。現在は53万円以上になり、さらに値上げしようという動きもあります。私立大学も国の助成の割合が引き下げられたため、授業料が1975年の平均約18万円から、2014年には同約86万円にまで激増しています。

 民主党政権のもとで10年度に高校の授業料無償化が実施されましたが、自民党は「ばらまき」などといってこれに反対、安倍政権になった後の14年度に所得制限を導入しました。世論と運動で実現した給付奨学金も、安倍政権がその規模を抑えているため、必要な人に行き渡りません。

 安倍首相が、「高等教育無償化」をいうのは、「無償化」を憲法に書き込むことを掲げる日本維新の会をとりこんで、9条を「本丸」にした改憲の足掛かりにしようとの策略です。

段階的に学費引き下げを

 いま必要なのは、憲法を生かし、高等教育を段階的に無償化することです。日本共産党は当面、10年間で大学授業料を半額にすること、月3万円の給付奨学金を全学生の4人に1人にあたる70万人に支給することを提案しています。

 無償化を口実にした改憲の野望を許さず、経済的理由で学ぶ権利を奪われる若者をなくすために政治を変えることが必要です。


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