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2017年6月4日(日)

主張

財界と憲法論議

「安倍改憲」を応援するためか

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 憲法9条に自衛隊の存在を書き込む改憲を2020年に実施するという安倍晋三首相の策動が国民の批判と怒りを呼ぶ中、財界団体の経済同友会や経団連が、改憲についての議論を進めると相次いで表明しました。文字通り安倍首相が進める改憲策動を応援するものです。特に財界トップで「総本山」ともいわれる経団連は、経済財政諮問会議や政府の審議会を通じて安倍政権の政策に影響を及ぼすとともに、企業献金をあっせんし、自民党などの財政を賄っています。その財界が改憲案づくりに乗り出すのは危険であり、改憲に反対する国民に逆らいます。

経済同友会に続き経団連

 経団連、経済同友会、日本商工会議所などを財界団体と呼びますが、財界団体の中で改憲論議に先鞭(せんべん)をつけたのは財界人が個人で参加する経済同友会でした。小林喜光代表幹事(三菱ケミカルホールディングス会長)が4月の総会で、09年以来8年ぶりに「憲法問題委員会」を設置し、「憲法改正に関する主要論点の調査研究に着手する」と打ち出したのです。

 小林氏は新聞のインタビューなどで「いまの憲法には矛盾する部分もある」と改憲の意向を隠しません。経済同友会が5月末発表した安全保障委員会の中間報告では、武器輸出を拡大する「防衛装備移転3原則の策定」や「憲法解釈変更による集団的自衛権行使の容認」など同友会の提言が安倍晋三政権になって実現したことを列挙し、憲法を改定し「緊急事態条項」を創設することなどが今後の課題だと要求します。「戦争する国づくり」を推進する危険な要求です。

 安倍首相が憲法9条に自衛隊の存在を書き込み、憲法の「戦力不保持」「交戦権否認」などの平和原則を空文化する改憲案を示したのは5月3日の憲法記念日でした。経団連の榊原定征会長(東レ最高顧問)はその直後8日の記者会見で「経済界としても重要かつ重たい発言であると受け止めている」と発言、「経団連としても改めて憲法問題にかかわる考えを取りまとめる」と表明しました。安倍首相の改憲策動を財界・経団連としても応援するものです。

 経団連は大企業や各業界団体が参加し、榊原会長が安倍政権の経済財政諮問会議の有識者議員や財務省の財政制度等審議会の会長を務めるなど大きな力をふるっています。すでに05年には「戦力不保持」をうたう9条2項は「現状から乖離(かいり)している」と、自衛隊の保持を憲法上明確にするよう求める提言(「わが国の基本問題を考える」)を発表しており、色合いは違っても、首相が目指す改憲と共通する立場です。

 経団連はこの夏のフォーラムで憲法問題を議論するとしています。首相の改憲策動と合わせ、監視が必要です。

改憲反対の世論に背く

 経団連は現在の榊原氏が14年に会長に就任して以降、政策のうえでも、企業献金あっせんなど政治資金集めのうえでも、安倍政権への応援団ぶりが露骨です。改憲への動きもその表れです。

 安倍首相の発言の後も国民の間では「憲法改正は必要ない」という強い批判があります。企業は財界人・経営者だけのものではありません。財界としての改憲策動は労働者や消費者のことを考えず、その願いに背くものです。


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