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2017年6月2日(金)

主張

自衛隊PKO25年

「殺し、殺される」派兵やめよ

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 先月末、南スーダンPKO(国連平和維持活動)からの自衛隊部隊の撤収が完了しました。自衛隊の本格的な海外派兵の道を開いたPKO法成立(1992年6月)から25年―。PKOはこの間、「中立」の立場から「交戦主体」へと性格を大きく変質させ、自衛隊は安保法制=戦争法(2015年9月成立)によって任務遂行のための武器使用が可能になっています。南スーダンPKOをめぐっては、自衛隊が現地政府軍などと交戦寸前になり、「殺し殺される」危険と隣り合わせだったことが報道などで浮き彫りになりました。PKO派兵が根本から問われています。

武力行使の危険明白

 南スーダンでは13年末以降、大統領派(政府軍)と副大統領派の内戦が始まり、昨年7月には首都ジュバで大規模な武力紛争が起こりました。自衛隊派兵の前提となる停戦合意などPKO法が定める「参加5原則」の崩壊が明白にもかかわらず、安倍晋三政権は「戦闘が起こっているのではなく衝突だ」などという詭弁(きべん)を使い、実態を隠そうとしてきました。現地派兵部隊が作成していた「日報」を防衛省・自衛隊が組織的に隠蔽(いんぺい)しようとした疑惑はその象徴です。

 「不存在」とされながら後に公表された「日報」は大部分が黒塗ですが、昨年7月の大規模な武力紛争について激しい「戦闘」が行われたことを明記していました。さらに、最近の報道(先月28日放送のNHKスペシャル「変貌するPKO 現場からの報告」)では、当時の極めて深刻な実態が明らかになりました。

 ▽昨年7月10日、自衛隊宿営地を挟み、ビルに立てこもる反政府勢力と政府軍が銃撃戦。自衛隊宿営地の監視塔や倉庫などに銃弾が直撃しました。政府軍の戦車がビルに向けて砲撃した衝撃波で、宿舎に退避していた自衛隊員はパニック状態に。ある隊員は震える手で「今日が私の命日になるかもしれない」と手帳に書きました。

 ▽自衛隊と同じ地区に宿営地があるルワンダ軍は避難民を受け入れました。避難民の中に反政府勢力幹部が紛れ込み、政府軍はルワンダ軍宿営地に砲撃を行い、隣に駐屯するバングラデシュ軍が応戦しました。避難民は自衛隊宿営地前にも流れ込み、警備の隊員には「身を守るために必要なら撃て」という指示まで出されました。

 報道は、一歩間違えば自衛隊が政府軍と交戦し、憲法が禁じる武力行使に踏み出す事態だったことを伝えています。これほど重大な状況に陥っていたことを公表せず、“成果”だけを強調する安倍政権の姿勢はあまりに無責任です。

戦争法の廃止は急務

 国連PKOはかつて、中立・武力不行使を前提に停戦監視を主要任務にしていました。しかし、94年のルワンダ内戦を機に、「住民保護」が主要任務に浮上し、内政関与・武力行使も辞さず、停戦合意が崩れても撤退しない「交戦主体」へと変容してきました。南スーダンPKOもその典型です。

 安倍政権は昨年11月、戦争法に基づき、南スーダンの自衛隊部隊に対し、「宿営地の共同防護」や、救助のために武器を持って現場に駆け付ける「駆け付け警護」任務を付与しました。同法は、「住民保護」のための治安活動も可能にしています。危険極まる戦争法の廃止は急務です。


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