「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2017年5月22日(月)

主張

「自衛隊明記」改憲

制約なき武力行使の道許すな

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 憲法9条に自衛隊を明記し、2020年の施行を目指すと宣言した安倍晋三首相の指示を受け、自民党が、党憲法改正推進本部の体制を強化し、年内にも改憲原案を作成することを決めるなど、9条改憲に向けた動きを加速させようとしています。首相が9条に改憲の焦点を当てたことは、日本を本格的に海外で「戦争する国」にしていこうとする危険極まる狙いを浮き彫りにしています。

戦争法を超えた役割拡大

 首相は3日の改憲派集会へのビデオメッセージなどで「(憲法)9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」と表明し、その後の国会審議で「1項、2項をそのまま残し、3項に自衛隊を明記する」との考えを示しました。

 9条は、1項で戦争と武力による威嚇、武力の行使の放棄、2項で陸海空軍その他戦力の不保持、交戦権の否認を定めています。自衛隊の規定がないばかりか、戦力の保持を一切禁止しています。

 歴代自民党政権は9条の規定に反し、自衛隊を世界有数の巨大な軍隊として増強してきました。しかも、安倍政権は集団的自衛権の行使について「9条の下では許されない」としてきた歴代政権の憲法解釈さえ百八十度覆し、安保法制=戦争法の強行によって実行可能にしました。

 しかし、「集団的自衛権は憲法上の制約があって限定的な行使になっている」(首相)と、建前では9条による「制約」を認めざるを得ません。国民世論の多数も現行の9条を改憲することに反対しています。9条と世論という「制約」を突破する狙いで持ち出されたのが「自衛隊3項明記」論です。

 憲法に基づき権力を行使するという立憲主義を乱暴に破壊する安倍政権の下で、9条「3項」に自衛隊の存在理由を書き込めば、どのような事態が生まれるかは明らかです。「3項」が独り歩きを始め、自衛隊の役割・任務が戦争法の規定さえ超えて止めどなく拡大していくことは避けられません。

 「3項」に自衛隊をどのように書き込むかについて首相が具体的な言及を避ける一方、首相「周辺」から重大な提案もされています。

 改憲運動団体・「日本会議」系のシンクタンク「日本政策研究センター」の代表で、「首相の一番の政策アドバイザー」(『ドキュメント日本会議』)とされる伊藤哲夫氏らは、戦力不保持を定めた9条2項の例外規定として「3項」に自衛隊を明記する案を示しています。

 同センターが3日に出版した『これがわれらの憲法改正提案だ』でも「二項はそのままにして、九条に新たに第三項を設け、第二項が保持しないと定める『戦力』は別のものであるとして、国際法に基づく自衛隊の存在を明記する」という提案をしています。

9条2項の死文化が狙い

 2項が保持を禁じる「戦力」とは「別のもの」として「3項」に「国際法に基づく自衛隊」を明記すればどうなるか。2項の「制約」は自衛隊には及ばなくなり、海外での武力行使が無制限に可能になります。9条2項の死文化と、海外での無制限な武力行使にこそ「自衛隊3項明記」論の狙いがあることは隠しようがありません。

 日本と世界の平和、国民の生命と安全を脅かす安倍首相の改憲策動を必ず阻止する大闘争を起こすことが求められています。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって