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2017年5月11日(木)

主張

首相予算委答弁

憲法尊重擁護義務投げ捨てた

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 憲法施行70周年にあたっての読売新聞でのインタビューや改憲派集会へのメッセージで、2020年に自衛隊の存在を明記した改憲を施行すると表明した安倍晋三首相が、衆参予算委員会での答弁で、「自民党総裁としてのもの」「『読売』を熟読してほしい」と無責任な発言を繰り返す一方、「9条改憲を優先させる」と前のめり姿勢を浮き彫りにしました。首相が改憲の時期や中身に踏み込んだのは重大です。首相や閣僚などに憲法を尊重し擁護する義務を定めた99条を守る立場が全くありません。安倍首相のもとでの改憲阻止がいよいよ急務です。

憲法を「空洞化」する危険

 自民党内でも異常な改憲派で知られる安倍首相はこれまでもことあるごとに現在の憲法は「押し付け」だとか「歴史的使命」だとか改憲を主張し続けてきました。しかし、自民党が政権に復帰し第2次政権を発足させて以降、改憲の時期や改憲の内容を具体的に語るのは避けてきました。首相の改憲表明は、改憲を求めていない国民の声に逆らうものだからです。

 首相は今回、東京オリンピック・パラリンピックが開かれる20年に改憲を施行したいと時期を明示しました。改憲には国会での発議、国民投票などが必要であり、20年施行は差し迫った問題です。まさに政治的利用であり、自らの自民党総裁の任期延長をにらんだ“個利個略”が本質です。

 首相は憲法9条の戦争を放棄した1項と戦力不保持、交戦権否認の2項はそのままで、3項に自衛隊の存在を書き込むといいますが、現在の自衛隊は安保法制=戦争法の施行で海外でのアメリカの戦争に参加することまで可能にしています。1項、2項と矛盾する自衛隊の存在を3項に明記することは、深刻な矛盾を憲法に持ち込むことで1項や2項を「空文化」させる危険があります。戦争放棄や戦力不保持、交戦権否認など憲法に盛り込まれた平和主義は国民主権や基本的人権の尊重とともに憲法の根幹であり、憲法そのものを「空洞化」させる重大な改憲を認めるわけにはいきません。

 これまで政府は9条があるから海外派兵や集団的自衛権行使、武力行使のための国連軍参加はできないと説明してきました。改憲で9条が「空文化」すれば大手を振って海外派兵することになるのか。自民党はもともと9条2項を廃止し、自衛隊を「国防軍」に変え、海外派兵などを進める「改正草案」を準備しています。日本共産党の小池晃書記局長が参院予算委でこのことを指摘しても安倍首相は「草案」を否定しません。自衛隊の存在を憲法に盛り込む危険性はいよいよ明らかです。

99条を踏みにじる暴挙

 安倍首相は答弁で、9条を優先して改定する意向を示し、国会の憲法審査会での改憲案づくりを求めました。改憲を先導する首相の姿勢は極めて異常です。

 憲法99条は、国務大臣、国会議員などは「憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と明記しています。安倍首相の態度は憲法の「尊重擁護義務」を真正面から踏みにじっています。行政府の責任者である首相が、憲法「尊重擁護義務」を踏みにじり、立法府の憲法審査まで牛耳ろうというのは二重三重に言語道断です。首相の改憲策動阻止に全力をあげるときです。


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